守りたいものは自分で守る ページ18
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" 鬼兎(おにうさぎ) "
私たちがそう呼ばれていたのは
もう14年も前の話。
私がまだ烙陽にいた頃の話だ。
齢5にも満たないガキ2人が大人相手に戦って
負けることがなかったという伝説。
1人はサーモンピンクの髪に青色の瞳の男の子
もう1人は栗色の髪に紫色の瞳の女の子
鬼のように強く、
鬼のような目で戦う夜兎族の子ども。
無敵だった2人はたちまち
" 鬼兎 " と呼ばれるようになった。
そんな2人の口癖は
" 子どもだからって舐めてると、殺しちゃうぞ "
この時の口癖が今の私の口癖にも影響してるんだと思う。
『 神威が…ずっと探してたアル 』
私の両親が亡くなってからは
しばらく神威の家にお世話になっていた。
神楽ちゃんはまだ小さかったので
きっと覚えていないだろう。
近藤さんの所にお世話になることが決まって
私は神威には何も告げずに家を出てきたのだ。
『 なんで黙って出て行ったアル 』
「 それは… 」
叶うことなら神威のそばに居たかった。
でもまだ4歳の私たちに、
決定権などある訳がなかった。
ましてや私は半分地球人。
あの頃はまだ、夜兎族と地球人が一緒になることが
好ましいことではなかった時代。
そのせいで家が燃やされたことくらい、
私だって知っている。
このまま神威の家にいれば、
神威の家族みんなが危ない目に逢う。
そう思ったら、この家を出るしかないと思った。
「 神威を…神威の家族を、守りたかったからだよ 」
『 A… 』
神威が、神威の家族が大好きだったから。
『 ごめん…私… 』
申し訳ないことをしたと思っているのか、
悲しそうな顔をして俯いた神楽ちゃん。
「 そんな顔しないで 神楽ちゃん。
今はこうして、大好きな新しい家族も出来た。
それに、神楽ちゃんにもまた会えた。
だから今も幸せだよ 」
『 ……… Aっ…!!』
目にいっぱいの涙を溜めて
抱きついてきた神楽ちゃんの背中に手を回す。
「 大きくなったね、神楽ちゃん… 」
神威は今、何処で何をしてるんだろう。
何も言わずに出て行ったこと怒ってるかな。
それともまたあの笑顔で
優しく抱きしめてくれるかな。
出て行くときにそっと置いてった
お揃いの兎のキーホルダー、まだ持ってるかな。
神威…
______ 会いたい。
私の携帯に付いている兎のキーホルダーが
コロンとポッケから顔を出した。
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リノ(プロフ) - きゅんきゅんが止まらなくて心臓が潰れそうです。これからも楽しみにしています! (2020年10月23日 15時) (レス) id: fc408fc325 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mini | 作成日時:2020年10月19日 4時