壊れてしまうならこのまま触れずに ページ16
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俺とAが出会って十数年。
ほとんど毎日一緒に過ごしてきた。
近藤さんの妹として紹介された時、
無愛想だったこんな俺に対して
" よろしくね、総悟!" なんて明るい笑顔を向けてきたA。
子どもの頃は何度手合わせしても
勝ったり負けたりの繰り返し。
食事を取り合ったり
些細なことで言い合いしたり…
そんなことばっかりだったが、
なんだかんだAといるのが楽しかった。
いつの間にか、
Aの隣には俺がいるのが当たり前で
俺の隣にはAがいるのが当たり前になっていた。
『 やっぱりここにいたか 』
「 …何よ 」
だからAが土方の野郎にやたらと懐いてんのも
気に食わなかった。
Aの隣には俺がいればいい。
俺の隣にもAがいればいい。
Aが隣にいてくれれば
俺はなんだって出来る。
『 …悪かったって 』
「 …こんな美少女放っておくなんて最低 」
『 美少女なんてどこにいるんでィ 』
Aは誰にも渡さねぇ。
テメェだけは、俺が必ず守ってやる。
『 もうわがまま姫を放っておくなんざしねェよ 』
「 …言ったな 」
『 テメェの面倒見れんのは俺くれぇだからな 』
きっとこんなこと思ってんのは俺だけだ。
こんな気持ち伝えれば、
この関係が壊れることぐれぇ目に見えてる。
「 じゃあ…お団子食べたい 」
『 はいはい、仰せのままに。お姫様 』
だからこのままでいい。
幼なじみとしてでも、隣にいれるんなら。
この気持ちは心に閉まっとく。
『 あ、あとテメェのファーストキスは
高杉の野郎じゃねェから安心しろ 』
「 は 」
『 超絶イケメンの王子様でィ 』
「 ……… 誰だそれェェェ!!!」
女の癖にうるせぇが、
誰よりも優しくて
誰よりも強い
そんなAが俺ァ好きだ。
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リノ(プロフ) - きゅんきゅんが止まらなくて心臓が潰れそうです。これからも楽しみにしています! (2020年10月23日 15時) (レス) id: fc408fc325 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mini | 作成日時:2020年10月19日 4時