泣き虫少女と盗賊団 (ページ6)

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Episode155 ／恐怖の支配ページ6

『…同じ家建てたんだ…』

燃えて無くなったはずのシルバーナ家は、元と同じように建っていた。

門には多分…警報機。

でもいいや。

今夜は…邪魔するやつは全員殺る

闇夜に溶けこむように輝々と濃い銀色の目が光っていた。

軽々と門を飛び越えてから屋敷へと向かう。

相変わらず門から屋敷までは長い距離がある。

近づくほどに心臓がバクバクと音を立てる。

ベンズナイフを構えて屋敷の玄関まで行くと、

｢誰だテメェ！どこの組のもん…だ…ァ｣

男が言い終わる前に、男の首は地面に落ちた。

『…全員同罪だ』

シルバーナファミリーの構成員の数は300ほど。
多いか少ないかなんて知らないけど、屋敷内に入れば溢れかえっていた。

怒号を私に浴びせるものはきっと新参者。
私に気づいて上に知らせに行く者は昔からいる者。

新参者の人は完全に飛び火…巻き込みだけど、邪魔するんなら仕方がない。

屋敷に入って30分。

宴会場となっていた場所には私と無惨に転がる亡骸だけ。

そんな場所に二つの足音が響いた。

｢帰ってくるなんて驚いたよ。｣

『…っ！なんでお前が…クラン！』

足音の正体…それは、私が二年前にセラと一緒に殺ったはずのクランと、彼の2倍くらいある巨体の男。

確かに、あの時死んだはずなのに…。

｢不思議か？お前も知っているだろ？俺の能力は全てのものを分ける能力。俺はお前のところに行く前に、道端にいた男に俺の血を分けたのさ。｣

『…だからって』

｢そんなことは出来るはずないって？俺に出来ないことはないんだ。そして、俺の血に耐えれなくなった男は俺となった。｣

無茶苦茶だ。私が言えることではないけど。

クラン自身の血を分けられるだけでクランになってしまうなんて。

言葉を失った私に代わるように、クランは話すのを止めない。

｢そんなことより、帰ってきてくれて嬉しいよ。また一緒にシゴトができるね｣

『…わ、私はそんなつもりで来たんじゃないっ！！』

震える身体を叱咤してクランを睨む。

クランは、念を使えない叔父のボディーガード兼私のシイク係。

幼い頃に植え付けられた恐怖が今になって芽生えてくる。

負けない…絶対に。

｢じゃあ何しにきたんだ？ボスである俺を殺しにか？｣

今なんて言った？ボス？

ボスは叔父のはず。両親を殺してまで欲しがってた地位だ。

アイツがそう簡単に手放すはずがない。