Episode178 ／ 弟子と師匠 ページ31
｢君、190階に行きなさい。｣
『…50階じゃだめですか？連れがいるんです！』
ちょっとぶりっ子になって審判の方を上目遣いで見れば、50階行きのチケットを発行してくれた。
そしてキルとゴンと一緒にエレベーターに乗った時、さっきの少年も一緒に乗ってきた。
｢よっ｣
キルが声をかければ少年は｢押忍！｣と言ったあと、私に視線を移して怯えたような目を見せた。
それに気づいたのは私だけ。
ちょっと傷ついた。
｢…自分、ズシと言います！あなた方は？｣
｢俺キルア｣
｢オレはゴン、よろしく｣
なんか、自己紹介したくなくてキルの後ろに隠れていると、キルは見兼ねて私の分まで自己紹介してくれた。
｢…ったく。こいつはA。多分さっき戦ったから気まづいんじゃね？｣
｢Aってそーゆーとこあるよね｣
｢…そうなんすね。ちなみにみなさんの流派は何ですか？自分は心源流拳法っす！｣
会話は私抜きで進んでいく。
たまにゴンやキルが話を振ってくれるから、それにだけ答えていた。
自分で思っていたよりも、ズシくんに怖がられたのは心に来ていたらしい。
自業自得だけど。
｢ズシ！よくやった！｣
｢師範代！｣
あ、さっきの師匠さんだ。
ズシに話しかけた眼鏡のお兄さんは私たちを見た。
｢そちらは？｣
｢キルアさんとゴンさんと、Aさんす｣
｢はじめまして、ウイングです｣
それにゴンとキルは二人揃って、オス！と挨拶をした。
可愛いか
キルとゴンがウイングさんと話しているのを聞き流していると、すぐに受付についた。
『ジュース一本分なんだー』
｢そ。1階は勝っても負けてもジュース一本分のギャラ｣
自販機でジュースを買って、次の試合を待つ。
｢まぁこの階程度の相手ならまだ楽勝だよ｣
『私切実に身長欲しい…』 ｢そお？｣
私とゴンがそう返すが、ズシくんは違うことを心配してるようだった。
まぁ、キルの一言で周りの男達の眉間にシワがよったからね。
1番最初に呼ばれたのはキル…とズシくん。
キルは楽観的に笑いながらリングへと向かっていった。
｢キルア…大丈夫かな｣
2人になった待合室、ゴンが呟く
『…なんでそう思うの？』
ゴンだってキルアの強さは分かっているはず。
｢キルアは強いから。｣
『理由になってないねそれ』
思わず突っ込んでしまった。
まー…分からなくもないけど。
さすがに非念能力者相手に念を使うような子じゃないはずだけどな…。
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作者名：ろりお | 作成日時：2019年8月17日 22時
