Episode177 ／ 謎の少年 ページ30
とりあえずキルやゴンを真似て、一発で決めれるように相手の後ろに回り込む。
｢おい、今の見えたか？｣
｢いや、見えねぇ。あの女のガキの方、めっちゃ速いぜ｣
少年の首目がけて利き足とは反対で上段蹴りを繰り出せば、少年は前につんのめった。
…この子念能力者じゃん。
少年は私から離れて構えを変えた。
少年は一瞬オーラを出したかと思えば、すぐに纏をする。
その刹那、観客席から負のオーラが刺さった。
『…君の師匠らしき人がすごい怒ってるけど。』
それをこそっと少年に伝えれば、少年は目を見開いただけであまり動揺を見せなかった。
師匠さんが止めないのは私が念能力者なのを分かってるからかなー。
あと2分30秒…。
さぁ、どう戦おうか？
しばらく、纏の状態の少年と絶状態の私の攻防が続いた。
本気で蹴れば別だけれど、少年にダメージは与えられない。
本気で蹴ったら…さすがに少年の体が危ない。
私うまく調整できないからなー。
だから私は１回少年から距離をおいて、少年にだけ敵意のこもったオーラを送った。
少年の纏でも防ぎきれなかったようで少年は尻もちをついて転んだ。
やりすぎたかな…
そう思ったけど、少年はすぐに立ち上がった。
でも足、震えてる。
恐らく念を覚えたての少年に大人気ないことをしてしまった。
そのことが今になって罪悪感が募る。
もう私の負けでいいや、そう思って審判に声をかけようとすれば同時に
｢タイムアップ！両者、引き分け！｣
との声がかかった。
｢…押忍…。ありがとう…ございました｣
『…こちらこそ』
少年は少ししょんぼりした様子で頭を下げた。
『引き分けの場合ってどうなるんですか？』
｢両者この階にステイです。次の試合をお待ちください。｣
なるほど、そういうシステムなのかー。
私はリングを出てゴンたちの元へ戻った。
｢A、あの子強かったの？｣
『めっちゃ強かった。蹴っても倒れないんだよ！』
ゴンにそう言われて、念のことは伏せて伝える。
｢お前手加減してただろ。｣
『してないよー』
じと目でキルが見てくるが、私はシラを切り通す。
どうやらキルやゴンに、少年が念を使ってたことはバレてないらしい。よかった。
私の二回目の一回戦。
相手は細マッチョの男の人。
後ろに回って、回し蹴りをしようと思ったが身長のせいで届かなかった。
高く跳んでから男の首筋を蹴れば、男は吹っ飛んだ。
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作者名：ろりお | 作成日時：2019年8月17日 22時
