泣き虫少女と盗賊団 (ページ23)

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Episode170 ／兄妹の事情ページ23

｢はい｣

『あ、ありがとー。てかなんで私取られたんだっけ？』

確か四次試験のときに急に取られたんだった。

｢知らない｣

取った本人のくせに…

まぁいいか。無事に帰ってきたし。

｢で、Aこれからどうするの？｣

『ゴンたちは今どこにいるの？』

屋敷に来てから一度もゴンたちの気配がしない。

さすがにゾルディック家で円をすれば気づかれてしまうからキルの場所を探すことも出来ない。

｢…Aもゴンたちと友達なの｣

小さく、旅団のくせにとイルミは言った。

『…ちゃんと区別するよー。さすがにそこまで馬鹿じゃない。優先するのは蜘蛛』

私は自分の首の刺青を撫でた。

イルミは何も言わなかった。

『とりあえずキルに会いたいんだけどなー』

｢無理だね。キルは今独房。それに、キルに会えば母さんにバレるし｣

うっ…確かにそれは否定できない。

キキョウさんのスコープは常にキルでも見てそうだ。

『じゃあまだゴン達は来てないんだよね？』

｢…試しの門を開けるために特訓中｣

『あー、あれか。イルミ、ありがとう。私ゴンたちのとこ行くよ』

いつもの無表情の中に少し悲しげな表情が見えた。

…気がした。

『今度はー、シルバさんやゼノさんにも挨拶しに来るから！Aちゃんに会えなくても寂しがらないでよー？』

ばしっと頭を叩かれて

｢馬鹿じゃないの｣

冷たく睨まれた。

私ポジティブだから。ツンデレだと思うことにするよ

私はイルミに背を向けて、試しの門へと向かった。