Episode167 ／ 黄泉への扉 ページ20
飛行船に乗って着いたのはデントラ地区。
『歩くのめんどくさいなー…。』
何とかして楽していこう、と周りを見渡せばバス停が見えた。
『お姉さーん！このバスってククルーマウンテンい行く？』
｢あら、きみゾルディック家にでも行くの？｣
『うん！』
｢じゃあついてきて｣
猫かぶるのって大事だと思うんだよね
ちょっとやり過ぎかな、なんて思うけど。
｢このバスに乗れば、正門まで行けるわよ。気をつけてね？｣
『ありがとー』
バスの中は観光客八割、殺し屋狩りが二割ほど。
いつになっても大変だなー。ゾルディック家。
バスが試しの門に到着し、観光客が続々と降りていく。
私もそれにならってバスを降りた。
初めて見るけど、殺し屋狩りの人達がミケに喰われた。
それに観光客の皆さんは怖がってすごい勢いでバスに戻って行った。
｢きみ！早く乗って！！｣
『あ、私ここでおります！』
てん、てん、てんって感じ。
そしてその後バスは逃げるように去っていった。
｢…もしかして、Aお嬢ですか？｣
『…お久しぶりです、ゼブロさん』
数年経ったが特に変わりのない笑顔のゼブロさんがいた。
｢こりゃたまげました。まさか、あの幼かったAお嬢が…。ダンナ様もお喜ばれると思いますよ｣
『ははっ、そうかなー…。今日はイルミに用があるんだ。ゼブロさん、鍵くれないかな』
試しの門を開けるのがただめんどくさいだけなんだけど。
久しぶりにミケと鬼ごっこしたい、というのもある。
｢本気ですかい？｣
『今なら逃げ切れる自信がある！』
私がそう言うと、ゼブロさんは考えるような素振りを見せた。
｢うーん…分かりました。くれぐれも気をつけてくださいね？｣
『ありがとーございます！』
鍵で扉を開けて中に入ると少しずつミケが近づいてくる気配がした。
ミケの姿が見えるところまで歩いて、いつでも逃げられるように構えた。
来る、そう思ってダッと駆け出しても、ミケは私を見向きもしなかった。
『…ミケ？』
後ろを振り返れば、ミケはなぜか門のそばで座り込んでいる女の子の元へと駆けていた。
なんで、なんて疑問よりも助けなきゃという思いが湧く。
私と2歳くらいしか変わらない子だ。
『ミケ！！待て！！』
ミケが家族以外の言うことを聞かないことは知っていたが、叫ばずにはいられなかった。
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作者名：ろりお | 作成日時：2019年8月17日 22時
