Episode135 ／ 命の恩人 ページ36
静かになった部屋には、ゴンとキルア、クラピカとレオリオ、そしてAの5人が残っていた。
パーカーを脱がして、シャツになったAにタオルをかけて、レオリオは心肺蘇生をしながら声をかけ続ける。
この際、ヒソカは
｢ゴン、オレのカバンにある水色の瓶から2錠薬を出しといてくれ。｣
ゴンは言われた通りに動く。
｢…あとは…人工呼吸で自発呼吸に戻れば良いんだが…｣
レオリオがそう呟いた時、ヒソカの乱入によりその場にいたものの意識は途絶えた。
｢Aに人工呼吸なんてさせたらマチ辺りにボクが殺される♥｣
｢そんなこと言って自分がキスしたいだけじゃないの？｣
気絶した4人を端っこに放り投げながら、ギタラクルは針を抜いてイルミへと変わる。
｢早くして。死なせたら俺がお前を殺すよ｣
｢ヤリたいのは山々なんだけどねぇ♦ボクはやったことがないから、キミがやってよ♠｣
ヒソカは心底残念そうに言う。
その手にはきちんと人工呼吸用のマスクが握られていた。
レオリオのカバンから勝手に取り出したのだ。
｢奇術師に不可能はないんじゃないの｣
そう言いながらイルミは、人工呼吸用のマスクを使わずにAの鼻をつまんで人工呼吸をした。
時折水を吐き出すため、顔を横に向けながら。
しばらくそうしていると、ケホッと咳き込みながらAの呼吸が戻った。
｢…意識ないけど…呼吸あれば大丈夫だよね｣
｢ボクに聞かれてもねェ…♣｣
イルミは再び針を刺してギタラクルへと変わり、ヒソカと共に部屋を出て再びボディーガードとなった。
その後、続々と目を覚ましたレオリオたちはヒソカに気絶させられたことを思い出せないでいた。
｢…呼吸が、戻ってる…｣
ただ、分かる事実は誰かが人工呼吸をし、Aに水を吐かせたということ。
｢…もう大丈夫だ。起きたら薬とその瓶に入った水を飲ませてくれ。脱水症状用の水だ。｣
汗だくのレオリオを含む4人はほっと息を着いた。
そして一時間後、船は無事にゼビル島へと到着する頃にAは目覚めた。
｢A、ほんとに大丈夫？｣
『頭は痛いけど、うん、大丈夫だよ。行ってらっしゃい！』
三次試験をクリアした順から２分おきにゼビル島へ上陸できるらしく、ゴンは名残惜しそうに船を降りていった。
ゴンには本当に感謝しかない。死ぬかと思った。否、死んだと思ってた。
命の恩人だ。
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作者名：ろりお | 作成日時：2019年8月4日 10時
