第六話 / 暖かいもの ページ7
’
『ん……ぐぬ』
うっすらと目を開ければ、薄暗い部屋が目に入った。
寝ちゃってた、のか
ここは??
見覚えの無い光景に警戒を強め、寝かされていたベッドから体を起こす。
……あれ、身体中の傷に丁寧に包帯が巻かれている。
どうりで痛くないと…でも、誰が
腕を伸ばしたりしながら体を動かしていると、
「まだ寝てた方がいいですよ」
『だれ』
急に声が聞こえて、近くにあった刀に手をかけた。
「そう警戒しないでください。任務のついでに立ち寄っただけですから」
焦る頭を落ち着かせて、声が聞こえる部屋の扉の方を見れば綺麗な女の人が立っていた。
蝶の髪飾りに蝶の羽のような羽織。
そして、腰には細長い長刀。
そして、その女性は優しく微笑んで私の方へと歩いてきた。
『おねーさんがここに?』
「ええ。道端で傷だらけで寝ていたので…。危ないですから、気をつけてください」
「それと、あと二日は絶対安静でお願いします。大丈夫だと思っていても体はそうでは無いですからね」
それだけ早口で告げると、「次の任務がありますので」と消えてしまった。
すごく不思議な人だった。
っていうか、私お礼言えなかった…それに名前すら聞けなかった。
きっと、任務って言ってたし忙しい人なんだろーけど
また、会えるかな
会えたらいいな
さて、痛みもないしだるさもない
まぁ寝たら治っちゃうみたいな?
いつまでもここにいる訳にはいかないから、出ていこう
一定の人と関わるのは怖い
裏切られたことがあるような、またそうなるような気がするから。
「お目覚めですか?」
本日二回目
急に聞こえた声に再び部屋の扉の方を見た。
そこに居たのは、穏やかに微笑むおばあちゃん。
「胡蝶様からお薬を飲んでいただくように、と言付かっております。お食事をお運びしてもよろしいでしょうか?」
わけがわからないままとりあえず頷くと、ものすごい速さでご飯が用意された
『ん、すごい美味しい』
「それはよろしゅうございます」
暖かいご飯に、暖かい言葉、視線
何故だか、目から涙が溢れた。
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蓮 - 初めて読みました!更新頑張ってください! (2020年2月23日 21時) (レス) id: 2cb59a0a8f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ろりお | 作成日時:2020年1月24日 7時