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第二話 / 盗賊の娘 ページ3






「こら待てクソガキ!!!」


『待てって言われて待つわけないでしょ!』




屋台売りのおっちゃんから逃げ回りながら、おにぎりを頬張る。



これは商品ではなくて、おっちゃんの昼飯だ。



「俺の昼飯を返せー!!」



『嫌だね!!…って酸っぱ!!おっちゃん今日の梅干しもう少し砂糖足した方がいーよ?』



「…っ、余計なお世話だっつってんだ!!」



顔を真っ赤にして怒るおっちゃんを笑い、お礼を言ってから私はさらに走る速さを上げた。



私の名前は、陽月A。もう少しで14歳になる。

親?

よく分からない。正直に言うと記憶が無い。


私の初めての記憶は、海のすぐ近くだった。





捨てられたんだ
幼ながらすぐにそう理解した。


幼かった私は生きる気力をなくして、呆然と海辺に座っていたらしい。



そこを、とあるおばあちゃんが拾ってくれたんだ。


最初は優しかったおばあちゃんも、段々と冷たくなったのは覚えている。




だから、私は置き手紙をして逃げだした。



記憶が無いのに、昔にも同じことがあったような気がしたから。



成長するにつれて、何故か私の髪の毛は白く変わっていった。



今はもう、半分ほど真っ白で、変色する速さも速くなっている。



まぁ、身体に異変はないから気にしてないんだけどねー


あっちこっちに行き、盗みをはたらいて今まで生きてきた。




『…生きるためだもん、仕方ないこと』




少し後ろめたい自分にそう言い聞かせて。


ところで、今日は何をしようかなー




体を動かすことが好きな私は、日々散歩と称して山を登ったり海で泳いだり、修行するのが日課。



ただ、それもだんだん簡単にこなせるようになると本気で暇なのだ。



最近住処にしている洞穴の中で、ゴロンと寝転んでみる。



すると、洞穴の奥深くからなにか唸り声のようなものが聞こえた。



この山は太陽の光を遮るほどの木が生い茂っていて、洞穴の奥は完全なる闇だった。



『そういえば、奥ってどうなってるんだろ…獣の住処、とか?』



イノシシとかなら狩って売ろうかなー、なんて軽い気持ちで私は奥へと足を進めた。



『…?』

暗闇の中うっすらと見える陰に目をこらす。
野生の中で育った私は夜目がよくきく。

それは、人の様な影だった。


しばらく動かずにそれを観察すると、洞穴の入口の方で音がした。


影がゆっくりと動き、赤黒い目と目が合った。


『…っ、』


やばい、率直にそう感じた。

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- 初めて読みました!更新頑張ってください! (2020年2月23日 21時) (レス) id: 2cb59a0a8f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ろりお | 作成日時:2020年1月24日 7時

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