Episode59 ／ 誰のわがまま？ ページ10
｢すごいな…｣
団長がそう呟いたのを聞き、治った事を悟ると私はその場を離れた。
否、離れようとした。
『…え』
腕を引っ張られてつっかえる。
フードが外れて頭を締め付ける感覚が消えた。
その途端、この2年間真っ暗だった視界が明るくなった。
周りには驚くみんな。
私は後ろ急いで振り向いた。
『なにするんですか団長。』
私は急いで手で目を覆った。
だってまださっき能力を使ったばっかだ。まだピンクに決まってる。
そう思ったのに、団長は両手で私の手を退けた。
｢綺麗だな。｣
そう言って笑う団長にふつふつと怒りが湧いてくる。
私はテルに頼ってしまう。
『やめろ』
ごめんなさい、テル
私は弱いから逃げてしまう。
彼らなら私を否定しない。現にさっき団長は私の目を綺麗と言ってくれた。
みんなだってそうだ。
｢別に今回は呼んでないんだが。｣
『…Aを傷つけるなら許さない』
私の目の前に立つ団長は、不機嫌そうだ。
そりゃ、団長が話したいのは私じゃなくてAだ。
｢Aにも俺の声は聞こえるか？｣
『もちろん』
｢俺は、俺らはありのままのお前のことが好きだ。もう無理に知ろうとはしない。待ってるから、いつか教えてくれ。｣
そう言うと団長は今度こそホールを出ていった。
あ、目隠し持ってっちゃった。
目を見たかった団長のわがまま。
目を隠したかったAのわがまま。
誰のわがままが原因でこんなことになったんだろう。
あんなこと言われちゃってるよ、A。
いい仲間いるじゃない、そろそろ話してもいいんじゃないのかな。
私はあなたじゃないから、心まで変わってあげることは出来ない。あなたが本質なんだよ。
だから、もう戻りな。私の出番は終わり。
｢…A？｣
マチに名前を呼ばれるまで、私は私に戻ったことに気づかなかった。
さっきのテルの言葉が頭に響く。
分かってる、頭では分かってるのに心が拒否する。
私は黙ってマチのそばに座り抱きついた。
マチは何も言わずに頭をぽんぽんしてくれる。
暖かい人肌に安心して、私は直ぐに微睡みに埋もれた。
Episode60 ／ 分からないのはみんな一緒→←Episode58 ／ 癒すことは出来ても
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 66人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
k.k - 一人目の弟子……カイト？ (2020年10月5日 17時) (
レス) id: db3fbbd863 (このIDを非表示/違反報告)
あやは(プロフ) - 美桜琉さん» コメントありがとうございます！読者様の反応が気になっていたので凄く嬉しいです笑モチベ上がります！頑張りますね~ (2019年8月2日 18時) (レス) id: df4b2b1b15 (このIDを非表示/違反報告)
美桜琉(プロフ) - ほんっとうに面白いです、、、これからも更新頑張って下さい！ (2019年8月2日 18時) (レス) id: 95c48d4791 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ろりお | 作成日時：2019年7月21日 8時
