第九十三話 ページ48
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目を開けて一番に目に入ったのは、ベッドのすぐ側で涙ぐむ善逸
そしてその反対側でぐっ、と私の右手を握っていてくれる悲鳴嶼さん
穏やかな光が差し込む部屋の中、あまりにもミスマッチな二人に思わず笑いがこぼれた。
「Aちゃん゛…よ゛、よがったよおおお!もう起きないかと思っだ…」
善逸は私に抱きつくとぎゃんぎゃんと泣きわめく
悲鳴嶼さんは何も言わない代わりに、静かに、微笑んで涙を流していた。
『…ご…ん』
ガッサガサの声がか細く漏れる。
思いのほか長い間寝てしまっていたのかもしれない。
「無事でなによりだ」
悲鳴嶼さんの優しい声が耳に心地よい
と、思っていたのも束の間
善逸の喚き声を聞きつけたのか、部屋の外からドッタンバッタン騒がしく音がした。
「人の病室で騒がないでくだ……さ、Aさん!!!」
「目が、覚めたんですね…」
アオイちゃんの目に涙が浮かんで今にも溢れそうになって、焦った私はジェスチャーで水が欲しい、と伝える。
何度もうなづいたアオイちゃんはもう一度部屋の外へ走っていった。
善逸を注意してたけど、アオイちゃんの足音も……とは思ったけどまぁいいか。
私の目覚めは鎹鴉によってすぐにみんなにも伝えられたらしく、任務から戻った柱のみんなや炭治郎、伊之助が次々に会いに来てくれた。
「…いつまで寝てんだよおめェは。ババァか」
『ぴっちぴちの15歳ですが???』
部屋に入ってきてそうそうに憎まれ口をたたく不死川さん曰く、私は三週間近く寝ていたらしい。
折れていた肋や左手の骨も少しづつくっついてきているそうだ。
「A。口ではあんなこと言ってる不死川だけどな、アイツ任務終わりにここに必ず寄ってたんだぜ」
コソコソと宇髄さんに耳打ちされて、思わず不死川さんを見る
「なんだよ」
『…いや?不死川さん私のこと大好きだなって』
「は…、てめ、ぶちころすぞ。おい宇髄ィ、テメェなに吹き込みやがった」
「さぁな」
「チッ」
にやにやする私と宇髄さんに大きな舌打ちをして部屋を出ていった不死川さんは記憶に新しい。
しかもその耳が真っ赤だったことも、ね
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キメツ推し - 面白かったです!パスワードを知りたいです (3月29日 12時) (レス) @page50 id: 267e3fd993 (このIDを非表示/違反報告)
さくら - めっちゃ面白かったですパスワード教えていただけると嬉しいです (3月1日 20時) (レス) id: a79ca47ff6 (このIDを非表示/違反報告)
さくら - とても面白かったです!パスワード教えていただけると嬉しいです (3月1日 20時) (レス) @page50 id: a79ca47ff6 (このIDを非表示/違反報告)
うらら - とっても面白かったです!パスワードを教えていただけると嬉しいです! (12月17日 22時) (レス) @page50 id: 5151e61b26 (このIDを非表示/違反報告)
えー(プロフ) - 面白すぎて一気に見てしまいました!パスワードを教えていただければさいわいです! (11月26日 21時) (レス) @page50 id: 9a652782c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白米 | 作成日時:2020年2月17日 22時