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第九十二話 ページ47

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「…A……もう、やめよう…剣士になんて、なれなくたっていいじゃない…Aさえいれば…。お願い…っ、」


________一緒に逃げて


トキが腕を痛いほど強く握る。冗談を言っていないのは分かった。

それでも、無駄に良いだけの頭に、もしバレたとき…その最悪のパターンがチラついた。


『だめ、だめだよトキ……部屋に戻って。誰かに見られたりしたら…』


「今から逃げるの…ここは…もう…。お母様だって…!もう、二度と来ないのよ!?ここにいる意味なんて、なんにもないじゃない…っ、Aも、もうアイツの言うこと、きかなくてすむのよ」


逃げても、絶対に見つかる

お父様にはそれが出来る権力がある…


そして見つかった時に罰を受けるのはトキで、私はそれで苦しむトキを見たくなかった。


『部屋に、戻って』

『私は…剣士になる。鬼殺隊に入って、柱になるよ』


私が柱になって、お父様を超えて、トキと二人で…お母様とユズに会いに行ける環境を作りたくて


「…っ、A」


トキの目から涙がこぼれた時



「…A様のお部屋で話し声がするんです」


使用人の声だ…



トキには聞こえていない。

微かに廊下の奥から二人、こちらに歩いてくる音がする


焦った私の口からでた言葉は

『私はあなたと違うから。もう、私に関わらないで』


トキの腕を振り払って、足音がする方とは違う障子の方へと追い出した。



トキはあの時すでに精神的にも身体的にも限界だったんだと思う。

残念ながらそれに気づいたのは最近になってから

皮肉にも、日天さんを姉に重ねてから



トキが私にだした唯一のSOSを、私は突き放してしまったんだ。



彼女が鬼になって現れたとき、被害者ぶった私は、ただの、加害者だったのに



頭の中にぐるぐるとトキの声が響く





「…A」


優しくて



「A!」


あたたかい声


「A…?」



もう、そんなに呼ばなくてもいいよトキ



「…A…ちゃ…Aちゃん!」



あれ、この声、だれだろう



視界が、ひらけていく

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作品ジャンル:アニメ
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キメツ推し - 面白かったです!パスワードを知りたいです (3月29日 12時) (レス) @page50 id: 267e3fd993 (このIDを非表示/違反報告)
さくら - めっちゃ面白かったですパスワード教えていただけると嬉しいです (3月1日 20時) (レス) id: a79ca47ff6 (このIDを非表示/違反報告)
さくら - とても面白かったです!パスワード教えていただけると嬉しいです (3月1日 20時) (レス) @page50 id: a79ca47ff6 (このIDを非表示/違反報告)
うらら - とっても面白かったです!パスワードを教えていただけると嬉しいです! (12月17日 22時) (レス) @page50 id: 5151e61b26 (このIDを非表示/違反報告)
えー(プロフ) - 面白すぎて一気に見てしまいました!パスワードを教えていただければさいわいです! (11月26日 21時) (レス) @page50 id: 9a652782c8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白米 | 作成日時:2020年2月17日 22時

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