第六十一話 ページ16
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『ひっ、顔になんかついた……もう嫌、無理』
「柱ともあろう人がそんなこと言わないでください」
「……先を急ぐ、置いてくぞ」
那田蜘蛛山に到着した私たち。
前を走る二人が、山中に張られた蜘蛛の巣を避けて進む中、私はそれを全部顔にくらっていた。
それはもう見事に。
『二人が避けるから全部私に来る』
「……お前も避ければ良くないか」
「珍しく冨岡さんと同意見です。」
………。
二人の1m後方をぴったりとくっついて走る私。
身長の問題もあって、私の視界は二人の背中で塞がれている。
そんな2人が目の前で上下左右に消える(蜘蛛の巣を避ける)とどうなるか分かるだろうか?
……そう、私は突如目の前に現れた蜘蛛の巣に、顔からダイブするのだ。
『かえりたい』
しのぶちゃんが2m以上離れたら二度と蝶屋敷にいれない、とか言うから!!!
だから!こんなに近くを走ってたのに!!
もう、ぱっぱと任務終わらせてこんな蜘蛛ばっかの山から出てしまおう!!
とりあえずそう意気込んで、私は山の中へと目を凝らす。
『西に蜘蛛人間がたくさんおる……ッ!キモっ!』
「あら、毒ですかね…薬を調合できるかもしれません。私が行きましょう」
「……では俺は東に行く」
行ってらっしゃーい、と二人に手を振って、私は余った南の道を行くことにする。
しかし、何故かそれは急に引っ張られた羽織りによって遮られた。
「冨岡さん、A(これ)連れてってくださいね〜」
「いらん」
「まぁまぁ、即答せずによろしくお願いします!では!」
どんっとしのぶちゃんに突き飛ばされたかと思いきや、私は受け身の体制のまま冨岡さんに受け止められる形でダイブ。
数秒互いに無言で見つめあった。
『………』
「……小さいな」
『ぶっ飛ばしていいですか』
冨岡さんの言葉が指すものが身長なのか、はたまた別のアレなのかは知らないが、どちらにせよ私は貶されてるんだよね??
もうほんっと柱の奴らはすぐに私を貶す!!
私だって、すぐに色々成長させ…『!!』
『冨岡さん!!北東に300m、戦闘中の隊士あり、頚椎潰されそう』
たまたま、目を凝らしたままの視界に入った鬼。
私が行くより、冨岡さんに託したほうが早いと察した私は、情報を伝えた。
……悔しいけど、やっぱりブランクある私より現役バリバリの柱の方が…多くの人を助けられる。
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キメツ推し - 面白かったです!パスワードを知りたいです (3月29日 12時) (レス) @page50 id: 267e3fd993 (このIDを非表示/違反報告)
さくら - めっちゃ面白かったですパスワード教えていただけると嬉しいです (3月1日 20時) (レス) id: a79ca47ff6 (このIDを非表示/違反報告)
さくら - とても面白かったです!パスワード教えていただけると嬉しいです (3月1日 20時) (レス) @page50 id: a79ca47ff6 (このIDを非表示/違反報告)
うらら - とっても面白かったです!パスワードを教えていただけると嬉しいです! (12月17日 22時) (レス) @page50 id: 5151e61b26 (このIDを非表示/違反報告)
えー(プロフ) - 面白すぎて一気に見てしまいました!パスワードを教えていただければさいわいです! (11月26日 21時) (レス) @page50 id: 9a652782c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白米 | 作成日時:2020年2月17日 22時