第五十八話 ページ13
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「うん、貴重な意見をありがとう。…簡単に処罰を決めることは出来ない。今回は怪我人、犠牲者も出ているからね」
御館様のおっしゃる通り。
実は、私もこうなるような気がしていた。
「二人には接近禁止令を出していたし、もちろん継続するつもりではあるけど……どうしたものかな」
御館様は困ったように笑った。
その時、すっと手を上げるものが一名。
「それなら、私たち柱の誰かが監視を担当すればいいんじゃないでしょうか?」
「監視?Aのかい?」
「はい。Aは元々柱との合同任務も多いですし、特に私たちに支障はありません。どちらの言うことも、裏付ける証拠はないのでしょう?」
「なら、私たちが見張っていればもうこんなことは起きないかと思いまして」
思わず、しのぶちゃんを凝視してしまった。
それに気づいていても尚、しのぶちゃん御館様に、どうでしょうか、と尋ねた。
「じゃあしのぶの言う通り、暫くはそうしようか」
「叶美は怪我を治すことに集中すること。Aは暫く、柱の誰かと共にいるようにすること。いいかい?」
『…御意』
「御意」
少し、思ってたのとは違う結果になったが、まぁよしとしようか。
この件は他言無用。下の子(後輩)に話してはいけないことを言われ、解散となった。
「A、少し残ってくれるかい?」
『…?御意』
他の柱が退出して、私と御館様だけが部屋に残される。
私は、御館様が話すのを待っていた。
「A」
『はい』
「鴨丸を喪って辛いだろう。君を庇ってあげられなくてごめんね」
御館様には、私の姿は見えていないはずなのに
御館様の目は私をしっかりと捉えていた。
諭すような優しい声音に、引き締めていた涙腺が緩みそうになる。
「君が、何よりも大切にしていた鴨丸を傷つけることなんてしないことは分かっているよ。」
証拠が無いと、彼女を追放することは出来ない、そう言って御館様は謝られた。
『大丈夫、です。信じてくださる方がいるだけで、私は…大丈夫です』
御館様を心配させたくなくて、そう口にした。
だけど、御館様は少し眉をしかめた。
「私には嘘をつかないでおくれ」
あぁもう、御館様には全てお見通しらしい。
本当は、生きていたくないほど辛い
たった一人の家族を奪った人と、これからも一緒にいなければならない
何も残されていないからこそ、生きる意味が分からない
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キメツ推し - 面白かったです!パスワードを知りたいです (3月29日 12時) (レス) @page50 id: 267e3fd993 (このIDを非表示/違反報告)
さくら - めっちゃ面白かったですパスワード教えていただけると嬉しいです (3月1日 20時) (レス) id: a79ca47ff6 (このIDを非表示/違反報告)
さくら - とても面白かったです!パスワード教えていただけると嬉しいです (3月1日 20時) (レス) @page50 id: a79ca47ff6 (このIDを非表示/違反報告)
うらら - とっても面白かったです!パスワードを教えていただけると嬉しいです! (12月17日 22時) (レス) @page50 id: 5151e61b26 (このIDを非表示/違反報告)
えー(プロフ) - 面白すぎて一気に見てしまいました!パスワードを教えていただければさいわいです! (11月26日 21時) (レス) @page50 id: 9a652782c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白米 | 作成日時:2020年2月17日 22時