第三十話 ページ31
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「…ねぇ、しのぶちゃん……助けて」
日天はそう言って話し始めた。
胡蝶は少し首を傾げて、話に耳を傾ける。
「私……Aちゃんに虐められてるの…!」
その言葉に、ぴくっ、と胡蝶は眉をひそめた。
それに気づかない日天は、話しながらもぽろぽろと涙を流した。
「Aちゃん…はいつも私に任務を押し付けてきたり……この怪我だって…っ!Aちゃんに鬼の前に突き飛ばされて…!!」
「Aちゃんは一体も鬼を斬らずに、全部私に押し付けるの…」
「それは……可哀想ですね」
本っ当に、あなたの頭が。
我慢、と強く手を握りしめて笑ってない笑みを貼り付ける。
「ここ一月余り、Aちゃんに合同任務を強要されてて……もう…私耐えれないよ…」
てきぱきと肩の傷に包帯を巻きながら、胡蝶は可哀想、と相槌を打った。
その時、ガラッと音を立てて病室の扉が開いた。
「日天少女!ならば俺たちと代わってはくれぬだろうか!!」
「杏寿郎さん…っ!私と合同任務へ行ってくれるんですか!?」
泣いていた顔を上げて、満面の笑みを浮かべる日天
「いや!君とじゃなくてAとだ!」
それが一変、なんとも間抜けな顔に変わった。
煉獄の後ろでそれを見ていた甘露寺が吹き出したのは言うまでもない。
近くで見ていた胡蝶でさえ、自分の腕を抓って笑いをこらえていたのだから。
「日天さんは毎日Aと任務に行っているのですよね?私たちが代われば、もう虐められませんよ」
私たちはAに会いたいので一石二鳥ですね
そう言った胡蝶の笑顔は、先程とうって変わって生き生きとしていた。
否、胡蝶だけでなく煉獄、甘露寺、そして帰ったはずの他の柱たちも。
少し鋭い目付きで、日天を囲むように立つ彼ら
そこでやっと状況を理解したらしい日天
「わ、私の代わりに皆さんが虐められちゃう…っ!」
そう叫んで早々と病室を出ていった。
「あいつだろォ、噂流してる馬鹿な隊員たァ」
「証拠にならないのが悔しいですね…」
「……彼奴が鬼を斬れないのを知らないのか」
「Aちゃんは私たちよりずっと多い書類仕事をしてるわ!!」
「あんな奴がAと一月も共に任務をしてたのか」
「他人を落とすことしか出来ぬとは…なんと哀れな…」
「よもや!俺は断られたのか!」
「地味なことするやつは好きじゃねえ」
「Aを早く探そうよ」
柱の闘志に火がついた。
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廣岡唯 - みさにしましたよ (11月15日 14時) (レス) @page15 id: 4e412208c6 (このIDを非表示/違反報告)
漓流芭 - 悪女を 無粋実(ぶすみ)にしました WW草越えて土WW (7月11日 0時) (レス) @page50 id: 7a2db06ea4 (このIDを非表示/違反報告)
悠 - 私、悪女の名前「悠魔(ゆうま)にしました!でもなんかこの名前嫌だったので変えました〜 (2022年8月10日 10時) (レス) @page4 id: 4fd94a1d21 (このIDを非表示/違反報告)
リータ一 - 悪女の名前を饒舌留 生五味(しゃべる なまごみ)にしたWW (2022年5月13日 19時) (レス) id: 52c0e09012 (このIDを非表示/違反報告)
ラト - え?まって十三話のやつ、冨岡さん...かっこいいかよッ!!!((←そこじゃないだろ))私悪女の名前“琉涅”(るね)にしたけど途中から自分でもなんて読むのかわからんくなったww (2020年10月31日 20時) (レス) id: 8c4c38e0a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ろりお | 作成日時:2020年2月1日 12時