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目を開ければ朝だった。
回想入ったまま眠ってしまったらしい。
大きく伸びをしてから上半身を起こす。
すると、扉の向こう側からいい匂いが漂ってきた。
やっぱりこれは夢なんかじゃないんだよなぁ、なんて思いながら扉を開いた。


「おはよう、理鶯くん」

「おはよう。今日は早いのか」

「目が覚めてしまって」


今日も飽きずに豪勢な朝食。
このお金はどこから出てきているのだろうか。
聞いてみたいものの、なんとなく聞きにくかった。
何もかも知らないふりをしていただきます、とパンをひと口かじる。


「理鶯くんは今日、何か予定でも?」

「今日はイケブクロまで少し出向いてくる」

「イケブクロ…って大丈夫なんですか? 逆恨みからの事件とか起きたりしちゃうんじゃ」

「そこは大丈夫だ。心配してくれるとは、嬉しいものだな…」


いや、私が言いたいのはそういうことではない。
まぁでも、この人なら変に気をおかしたりはしないか。
淹れたてのコーヒーを口に含んでテレビをつける。


「…どのような用事かは聞かなくていいのか」

「え? いや、別に…あ! うん! ちょっと聞きたいかなぁ」


やべぇよ。今死ぬところだった。
キッチンから鋭い光が見えたよ。
朝から心臓に悪い。


「ふふ。…秘密だ」

「あ、そっかぁ…」


この答えに少し安堵している自分がいた。
答えによっては私のプライベートが少なくなりかねないからだ。


「そろそろ支度しないと…ごちそうさま」

「今日も全部食べてくれたのか。…良い子だ」


突然降ってきたキスを頬で受け止め、私は美味しかったよ、と返した。
この返し方も慣れたものだ。


「あぁ、そうだ。…これをカバンに付けておくと良い」

「これって、お守り?」

「あぁ。左馬刻からの贈り物だ」

「付けていいんですか?」

「…何故?」

「あ、ううん。なんでもないです」


ありがとう、と私はその御守りを手に取って洗面所へと向かった。
何かおかしい。私は女の勘を信じ、お守りを揉む。
お守りに似合わない硬い感触。


「…っ」


息を飲んだ。
気づかれないように、悟られないように。
私はお守りをそっと懐に忍ばせた。
ドラマとかでしか見た事ないものだ。私の記憶が正しければ、これは、盗聴器だ。


「…A」

「…っ、な、なんですか?」

「会社、遅れるぞ」


にこりと笑う彼に私はぞくりとした。
私もそこまで鈍感ではない。


きっとこの家にも、盗聴器が仕掛けられているのではないかーー。

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設定タグ:ヒプマイ , 毒島メイソン理鶯 , MTC   
作品ジャンル:アニメ
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あずま真太郎 - 完結おめでとうございます!(*´ω`)オメデトー 更新を毎日楽しみにしていたので複雑な気分ですが()毎日楽しませていただいてました。お疲れ様でした! (2019年1月23日 7時) (レス) id: 9ab5b26630 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - シルクルさん» ありがとうございます!!嬉しい気持ちでいっつぱいです(涙 頑張ります!! (2019年1月23日 6時) (レス) id: 6c48c3ca2f (このIDを非表示/違反報告)
amro(プロフ) - 完結お疲れ様でした。最後まで理鶯の異常な所がえがかれてて良かったです(^^) 素敵な作品ありがとうございました。 (2019年1月23日 3時) (レス) id: 18748080be (このIDを非表示/違反報告)
シルクル(プロフ) - 燐さん» めちゃくちゃ分かります。彼は根っからの一途というのが私の解釈で、解釈違いが起きてなくてとても嬉しいです! 短編小説の更新頑張ってください! 素敵なコメントをありがとうございました! (2019年1月23日 2時) (レス) id: 53fd95a37d (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 更新毎回楽しみにしています!!私の最推しはもちろん(?)理鶯さんですストーカー気質という発想がすごいと思いました!!ヤンデレとかもうおぉ。って感じです(伝われ!)これからも応援してます!! (2019年1月22日 22時) (レス) id: 6c48c3ca2f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:シルクル | 作成日時:2019年1月7日 0時

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