君が１番【さとみ】

＊ 初対面 ページ15

.






病院の入り口に、美花の姿を見つける

あっちも俺に気付いたのか、手を振ってくれた



『早かったね』


「走ってきたからね」


『焦らなくてもいいのに』


「言ったでしょ？早く伝えたいんだって」



俺は美花の案内で親父さんの病室に入った




『お父さん、紹介するね
えっと、百瀬さとみくんです』


「はじめまして、百瀬さとみです」



父「美花とはどういう関係なんだ」


「付き合って２年になります」


母「そんなに？気づかなかった！」


父「挨拶にしては随分遅かったね」


「大変申し訳ないです
僕は、去年、ご両親に挨拶がしたいと
言ったのですが、美花さんが拒んだので
今日まで伸びてしまいました」


父「拒んだ･･･ねぇ」


母「早く言ってくれればよかったのに
なんで拒んだの？」


『･･･怖かったの
２人になんて言われるか』


「僕は普段、動画サイトで歌を歌ったり
ゲームの実況をしたりしています
ネット上で活動するグループにも入っています
そのメンバーでライブをやることも決まっていて
沢山の人が僕達を応援してくれているんです」




父「動画サイトにネットのグループなんて
現代の若者は好きだね、そういうのが
テレビには出ていなくても
ライブをやるなら芸能人も同然
そんな君に、娘を任せる程
僕は優しくないよ」

母「ちょっと、」


「でも、たくさんの人が
応援してくれているのは事実です
先日のライブで、改めて感じました
まだまだ頑張らなくちゃいけない
聞いてくれている人達の期待に答えられるように

だから俺は、美花さんに言いました
リスナーさん達に報告したいって
でも、拒まれた
それだけじゃない
この２年の間、僕は何度も拒まれたし
もし、もし、って先延ばしにされてきました」


『さとみくん･･･』



父「君は全て娘のせいにするのか」



「違います

確かに、ついこの間までは、またかって
疲れた時がありました

でも、メンバーの人がヒントをくれたんです
俺がどうしたいのか、それが分かれば
正しい方向に進めるんじゃないかって」


父「･･･」






少しの沈黙が訪れる


俺は意を決して頭を下げた

＊結婚してください→←＊電話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す