第玖拾陸話 ページ2
___________
午前中に書類の整理を終わらせて、午後からは市中の見廻りに向かう。
「(人1)、俺も行く。」
玄関先で、刀を持って、屯所から出ようとしたとき、総悟がやってくる。
「総悟が進んで見廻りに行こうとするなんて珍しい。」
サボり魔のくせに、今日だけ何でそんなやる気なんだか。
靴を履く総悟が馬鹿にすんじゃねえよ、とこちらを睨みつける。
久しぶりに、二人での見廻りだ。
_________...
「(人1)、団子...「食べません。」」
「(人1)、茶ァ飲んで...「飲みません。」」
「(人1)、あそこでちょっくらきゅうけ「しません!!」」
見廻りから三十分たったか、たってないか。
その間、総悟が市中の娯楽という娯楽に目を奪われ、サボりに行こうとするのを止めること約15回。
「遊びに来たんじゃないんだから、サボらせないからね。」
と首根っこをつかみ、ずるずると引きずる。
「何でィ。(人1)だって甘味処で休憩したことくらいあるだろィ。」
引きずられながら、ふてぶてしい顔で呟く総悟。
「そんなのあるわけ...。」
あるわけない、と言おうとしたのに
ある日のファミレス、甘味が足りないと叫んでいた旦那の姿を思い出し、
はっと口を噤んだ。
いきなりだんまりを決め込んだ私に訝し気な表情を見せる総悟。
「...あるわけ、ないでしょ。」
ほら行くよ、と頭に浮かんだことをかき消して、
あの日の出来事は私の中で留めておくことに決めた。
江戸の町を注意深く観察しながら歩きだす。
「(今日も、いない。)」
あの、原付で屯所の前まで送ってくれたあの日から、
私は旦那の姿を見ていなかった。
379人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
キョン - ものすごく切なくてキュンともして、胸が忙しかったです笑。素敵な小説でした! (2021年2月1日 0時) (レス) id: 9b42d96c55 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいな(プロフ) - こういう設定大好きです…!最高でした。 (2020年8月28日 13時) (レス) id: ec54d11116 (このIDを非表示/違反報告)
stereogirl(プロフ) - 沖田落ち希望です!更に言えば、これ以外の沖田落ちもぜひお願いしたく!!よろしくお願い致します! (2019年2月17日 10時) (レス) id: ebd32c96af (このIDを非表示/違反報告)
まち(プロフ) - 完結おめでとうございます!続きが気になって、毎日更新が楽しみでした。どっちも見てみたいですが、沖田にも幸せになって欲しいので、是非是非沖田落ちを見てみたいです。次の更新も楽しみにしてます。頑張ってください! (2019年2月17日 9時) (レス) id: e579f7a559 (このIDを非表示/違反報告)
み - 沖田さん落ちが見てみたいです…! (2019年2月17日 5時) (レス) id: 26728df984 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:aya | 作成日時:2019年2月13日 20時