オレを好きになってよ。【手嶋純太】

Who is chosen?19. ページ19

鏑木が外を指差し

声をあげた。




「え」



雨‥





「おあー、まじだ

昼間あんなに晴れてたのになあ」




タオルで汗を拭きながら

外を眺める手嶋先輩。








「しゃーない、濡れて帰るわ〜

スピードマンのワイにかかれば

雨なんて敵やない！！」





「バカは風邪ひかないしな」




「ゴルァアア！

なんやとスカシイィィィ！！！」






「鳴子くん！今泉くん！

ケンカはやめようよ〜〜っ」






ギャーギャー揉める

鳴子先輩と今泉先輩を

止めようとする小野田先輩。









「あーあ、また始まったよ

まったくあいつらは‥


‥‥‥ん、A？」









あー、傘とか持って来てないなあ

バス停まで濡れてくしかないか。



バス停から家に着くまでに

やまないかな？





「おーい？Aー」




「‥あ、はいっ」




「どうした？」




「あ、いえ、何もないですっ

‥あ、あたし教室に忘れ物

してきたのでお先に失礼します！」






「え？‥ああ、おう‥！

気ィつけて帰れよー！」






手を振る手嶋先輩に

ペコリと頭を下げて

別に用もない教室へと向かう。














本当は忘れ物なんて

してないんだよねー。






バスの時間までまだ結構時間あるし。


かといって傘ないからバス停に

行っても濡れるだけだし。







まだ学校開いてるし

部室で待機するよりは教室に

いた方が気持ち的にも落ち着く。





自分の席について


窓の外を眺める。





さっきよりも大降りになってきた。





「これは止みそうにないなあ」






止むかなとか希望は捨てて

もうバス停いこうかな。






どのみち濡れるのはおんなじだよね。





ふぅ、と一息吐いて

席から立った。















「やっぱ傘ないんだ」








「え、なんで」







「オレも忘れ物ー」











手嶋先輩がいた。

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