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「ん…」

あれ?私、寝ちゃってた?

そうだ!先生の家に来て、お茶飲んだら帰りますって言ったんだった!

早く帰ろう。

起き上がろうとすると、ひどい頭痛にクラクラする。

「起きた?」

声のしたほうを見ると藤ヶ谷先生がお部屋の入り口に立っていた。

え、ここ寝室?

サーッと血の気が引く感じがする。

「あ、あの…私帰ります」

立ち上がろうとすると視界がグラッとして、またベッドに倒れこんでしまう。

「大丈夫?」

心配そうに近寄ってくる先生。だけど思わず後ずさりしてしまう。

「A?」

「だ、大丈夫です…」

とりあえずリビングに戻りたい。

ふわっと先生に抱きしめられて身体が硬直した。

「ごめんな」

なにが…?

心臓がバクバクする。

「こんなに効くとは思わなくて。身体辛い?」

何言ってるの?

「…俺が前処方してもらった睡眠薬をお茶に入れたんだよ」

睡眠薬?先生、眠れないことがあったの?

それより睡眠薬を私のお茶に入れたって…。

「…っ!」

ーもう無理。ほんとに無理。怖い。

恐怖に耐えきれなくて涙が流れる。

「A、怖がらないで。俺、Aのことほんとに大事だから。無茶して悪かった。」

「は、離して…」

「大丈夫だから」

背中を撫でられるけど嫌悪感しかない。

「離して下さい!」

暴れてるけど先生は全く離してくれない。
むしろ抱きしめられる力がより一層強くなった。

「Aが悪いんだよ。帰りたいなんて言うから」

私が悪いの?

「だからAも謝って?不快な思いをさせたこと。」

「…っ、ごめんなさい」

私が泣きながら謝ると、満足そうに微笑んで目尻にキスをする先生。

「仲直りしようか」

唇にキスをしようとする先生がどうしても受け入れられなくて顔を背けた。

「A」

咎めるような声色に、恐る恐る先生を見る。

先生は思ったよりは怖い顔をしていなくて酷く安心する私。

両手で頬を包まれてキスをされた。

「…帰したくないからってさすがにやり過ぎたな」

また哀しい顔の先生に胸が痛む。

「大丈夫です…少し頭痛いだけです」

「ありがと。優しいな、Aは」

先生はそう言って微笑むけど、また苦しそうな顔になった。

「俺、自分が怖い。…Aのこと、壊しちゃいそうで」

「先生…」

酷いことをされてるのに、先生がすごく可哀想に思えてしまう。

「A、愛してるよ」

先生の甘い言葉に私は抗えない。

その日私は、先生のものになった。

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ayachoko(プロフ) - あずきさん» あずき様、まだ読んでいて下さって嬉しいです(T^T)実はこの後の展開にかなり迷ってます(>_<)可哀想すぎるかな、とか…(;_;)楽しみにして下さって感謝です!ありがとうございます(*^^*) (2017年4月16日 6時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)
あずき(プロフ) - 相変わらずツッコミながら読んでます(笑)わーついに部屋に…!どうなるのでしょう。更新楽しみにしてますね♪ (2017年4月16日 0時) (レス) id: dc6b6c7204 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ayachoko | 作成日時:2017年4月10日 18時

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