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「兄貴！」
浩輔さんの声に太輔先生は立ち止まった。
珍しく大きな声を出した浩輔さんに私は驚いた。
太輔先生も同じだったのか、私の腕を掴んでいた手が緩む。
浩輔さんはその様子を確認してから、いつもの軽い話ぶりになった。
「…親父が、俺に出てけってさ」
浩輔さんが階段を上がりこちらに歩いてくる。
太輔先生はゆっくりと振り返り、浩輔さんのほうを向いた。
「当然だろ。定職についてないような奴を家には置いておけない」
低い声、冷たい瞳。
私がもし実のお兄さんにこんな風に見下ろされたらすごく悲しい。
「だから俺、働くよ」
「は…？」
「この家に居たいからね」
勝ち気に笑う浩輔さん。
「浩輔さん…」
すごく嬉しかった。
この家に居たいと浩輔さんの口から出たことが。
「ふっ、すげぇ嬉しそうなAちゃんと対照的に、兄貴めちゃめちゃ嫌そうだね」
「どういう風のふきまわしだ」
「優しいお姉ちゃんが俺の更正を望んでくれてるから、かな」
「…好きにしろよ。俺達には関係ない」
先生は再び私の手をひっぱり3階へ上がっていった。
先生の部屋に入ったけど、何も話さない先生。
薄暗い室内。
静かに刻む時計の音。
気まずくなった私はカーテンを開けてベランダに出た。
鳥のさえずりが聞こえる。外はとても明るくて少し気持ちが落ち着いた。
先生もベランダに出てきて私の隣に立った。
「今日、いいお天気ですね。どこに行きますか？」
そう聞くとぎゅっと抱きしめられた。
「…二人だけで、暮らさない？」
「え？」
「この家を出て、二人きりで」
あまりの驚きに何も返せない。
先生が、あの家を出るなんて。
奥様は絶対悲しむだろうし、院長先生だって…。
そしてそれは、確実に私が原因だ。
「…やだ？」
もちろん嫌だ。
けど否定したら、今度は先生が悲しむ。
「…嫌じゃないです。太輔先生と一緒なら、どこでも」
笑えてるかな。
精一杯の笑顔を作ってそう答えた。
「…まあ、出るとはいっても通勤できる範囲内の場所にする予定だよ」
絶縁、という言葉が頭に浮かんでいたから、そうではなかったことに安堵した。
「そうですよね、びっくりしました」
「だけどAは家から一歩も外に出ないで欲しい」
「え…」
「いつもただひたすら俺の帰りを待ってて。もちろん休みの日は二人で出掛けよう。一人ではどこにも行かないで欲しい」
「え、で、でも」
それって、社会とのつながりを切断するってこと？
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ayachoko(プロフ) - ひいさん» ひいさんありがとうございます！ウキウキして下さって嬉しいです(笑)またいつか更新できるようになった時にお時間ありましたらお付き合い下さると本当に嬉しいです(;_;)それまでは他のお話を書きつつ一生懸命妄想しようと思います(^^) (2020年5月10日 8時) (
レス) id: 1f0f554f59 (このIDを非表示/違反報告)
ayachoko(プロフ) - riceさん» riceさん〜(*^^*)この作品は更新停止が長引きそうなので一度パスワードかけますが他の作品で続きを書けるものと完結したものは公開させて頂きます！世界観が好きだなんてもったいないお言葉をありがとうございます(;_;)これからの励みにしていきます！ (2020年5月10日 8時) (レス) id: 1f0f554f59 (このIDを非表示/違反報告)
ayachoko(プロフ) - 玲さん» 玲さん…！(；∀；)玲さんにはなんど励まして頂いたことか本当に感謝しています(>_<)本当は書きたいのですがどうにも思いつかなくて…(;_;)また書けるようになったらぜひお付き合い下さると本当に嬉しいです！ちまちまとは書いていく予定ですので…(^^; (2020年5月10日 8時) (レス) id: 1f0f554f59 (このIDを非表示/違反報告)
ayachoko(プロフ) - Sayakaさん» Sayakaちゃんお久しぶりです(*^^*)ありがとう(;_;)また続きを書けるようになった時はぜひよろしくお願いいたします！コメント本当にありがとうρ(・・、) (2020年5月10日 8時) (レス) id: 1f0f554f59 (このIDを非表示/違反報告)
ayachoko(プロフ) - もち？太郎さん» たくさん読んで下さってるなんて嬉しいです(;_;)もち太郎さんのおっしゃる通り、いつかまた続きを書きたいというのが本音です(>_<)ラストはもう決まっているのですが中間が書けなくて…(;_;)また更新できたらその時はよろしくお願いいたします(。>д<) (2020年5月10日 8時) (レス) id: 1f0f554f59 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ayachoko
| 作成日時：2019年10月27日 16時
