『インモラル 4』

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「可愛い子ちゃん、食べちゃうぞぉ〜」

脇をくすぐると「んはははっ」って嬉しそうな玉森くんはやっぱりどＭだ。

「…玉森くん、ありがとう。本当の私を知っても仲良くしてくれて」

「本当の私って？」

「不倫しちゃう、最低な私…」

「だって仲間だし」

あ、そうか。玉森くんも皐月さんと不倫してたもんね。

「開き直ってないだけでも偉いよ、最低だってこうしてへこんでるし。けど終わらせなきゃダメだよ」

「…でも私、赤ちゃん出来たかも」

「はっ？！」

玉森くんがあまりに驚くからなんだか笑えてきた。

「へへ…やばいよね」

「…何で？藤ヶ谷さんと関係持ったの？」

「一度だけ…」

「ゴムつけなかったわけ？」

掘り下げて聞かれて顔が赤くなるけど「照れてる場合か」って突っ込まれた。

「なんか藤ヶ谷さん、それどころじゃなくて…」

「…無理矢理されたの？」

玉森くんの声が低くなり慌てて否定した。

「それさ、わざとだったら怖いね」

わざとって…。

「何でわざとするの？」

「既成事実を作る、みたいな」

安っぽい探偵気取りの玉森くん。

「いや、違うよ。ていうか玉森くんの藤ヶ谷さんの印象おかしすぎ」

「あながち間違ってないと思うけど」

そんな馬鹿な。

「…産むの？」

「まだ産婦人科に行ってないからわからないけど、診察してみてほんとに出来てたらどうしよう…」

検査薬は陽性反応出たけど、まだ時期も早いし。

玉森くんは「…この話、誰にもしちゃダメだよ」って言った。

「藤ヶ谷さんにも？」

「藤ヶ谷さんなんか絶対ダメ。もし万が一皐月さんに知られたら何されるかわかんないし。とりあえず不安だろうけど、病院で診てもらうまでは秘密。わかった？」

「…うん」

誰かに話せて少し気持ちが軽くなった。

解決しなくても、気持ちに共感してもらえて一緒に考えてもらえるのが、今の私にはすごく嬉しい。

こんなこと誰にも話せないから。

「病院行く時ついていこうか？」

「いいよ、誰かに見られたらそれこそ危険だもん」

黙り込む玉森くん。

「…つーか、結構ショック…」

ボソッと玉森くんが呟いた。

「え、何？よく聞こえなかった」

「んーん。んじゃ、帰りますわ」

「今日はほんとありがとう」

「また何かあったら電話して」

何だか玉森くんが私の一番の理解者に思えて、とても心強かった。

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