『インモラル 4』

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生理が来てもおかしくないのに、全く来ない。

朝、トイレの中で妊娠検査薬を使ってみた。

何分かして、恐る恐る検査結果を見ると、陽性。

…妊娠してる。

でもまだ今の段階では早すぎるから、もう少ししてから産婦人科へ行ってきちんと検査してもらおう。
今は年末で診察もやってないから。

微熱や腹痛があるのが気になるけど大丈夫なのかな。

ていうか、どっちの子…？

休憩中ぼんやりしてると「顔青いけど大丈夫？」って今井さん。
今日は年末でお客さんが多いからスタッフが多くて、私と今井さんと玉森くんの3人休憩が一緒になった。

「大丈夫です」

「ていうかご飯それだけ？」

「食欲なくて…」

すると玉森くんが「俺レジ番変われるしいつでも言って」って言ってくれた。

「ありがとう」

「変なもん食ったの？あ、熱は？」

玉森くんはおでこに手をあてて「ちょっとあるな、風邪？咳は出る？」って質問攻めで笑えてきた。

「ふふ、大丈夫」

「とにかくしんどくなったらすぐ言って。ね？」

「はぁい」

今井さんが私達をじっと見て「…なんかあんた達ちょっと最近親密すぎない？」って言うから慌てて否定しておいた。

仕事が終わり、玉森くんと一緒に従業員出口を出た。

「今日は色々ありがとね、玉森くん」

「全然。俺に出来ることなら何でも言ってね」

「うん…」

玉森くんには言っちゃおうかな、検査薬のこと。誰かにこの不安な気持ちを聞いて欲しいから。みっくんや藤ヶ谷さんには言えないし。

「玉森くん、あのね…」

なんて言ったらいいか迷って下を向いてると、玉森くんが優しく頭を撫でてくれた。

「大丈夫だから。聞かせて？」

「…うん」

涙で視界が歪み、玉森くんがユラユラ揺れて見えた。

そこで突然人影が現れて私は強く押され、地面に叩きつけられた。

驚いて見上げると皐月さんだった。

玉森くんは私を起こすと、庇うように胸の中に抱きしめた。

「やっぱり裕太にも手出してたんだぁ」

冷たく笑う皐月さん。

「裕太いるならいいじゃない、太輔返してよ」

「皐月さん…」

玉森くんの抱きしめる腕が強くなる。

すると皐月さんは鞄から携帯を取りだし、カシャカシャと私達の写真を撮った。

唖然としてると「太輔と北山さんに見せるわね」って楽しそうに笑う。

「この女の実態を見せてやるわ」

「やめてください…」

「消して欲しかったら太輔と別れて」

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