『インモラル 4』

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「みっくん、試験頑張ってね」

「おー。余裕だわ。受かったらお祝いしようぜ」

「うんっ」

二人でのクリスマスは25日の月曜日にすることになった。

24日が試験だから25日は仕事が休みになるみたい。私も休みだし、良かった。

みっくんを見送ると、クローゼットから白いファーのコートを出した。

髪の毛もゆるく巻いて、いつもよりもメイクにラメを使ってキラキラさせた。

…ちょっとあざとい感じするけど、イヴの日だしいいよね。

外に出ると雪が降りだしてきた。

寒いけど見映え重視で、我慢してミニスカにブーツで出掛けた。

待ち合わせ場所は初めて出会ったあの大通り。

そこには大きな時計台があって、クリスマスはカップルがよく待ち合わせてる場所。

知り合いにあったら危険だけど、初めて会った場所で待ち合わせって何だかロマンチックじゃない？

あ〜ダメだ私、浮かれてる。顔が勝手ににやけるし。

「…何してんの？」

「玉森くん…」

「え、まさかこんな人気の多いとこで不倫相手と待ち合わせてんすか」

「うるさいな、あっち行って！藤ヶ谷さん来たら勘違いしちゃうからっ」

「…そんな男受け狙った服装とか、痛すぎですよ」

ムカつく。

「まぁ、せいぜい偽りの関係を楽しんで下さい」

玉森くんは鼻で笑うと一緒にいたお友達のところへ戻って、どこかへ行ってしまった。

「イヴに男友達と過ごす玉森くんのが痛すぎだし」

…にしても藤ヶ谷さん、まだかな。

電話してみたけど繋がらない。

まさか、皐月さんに引き留められてるとか？

最近電話出来なかったのだって、藤ヶ谷さんが夜、少しでも離れると皐月さんがすごく嫌がるからだって言ってたし。

藤ヶ谷さん、皐月さんなんか振り払って電話してくれたらいいのに。

ー藤ヶ谷さんは最終的には皐月さんを選ぶよー

玉森くんの言葉がこだまする。

別にいいし。私だってみっくん捨ててまで藤ヶ谷さんと一緒になれるわけじゃないんだから。

だけど、今日はイヴだもん。

絶対会えるって言ってたし。

かじかんできた手にはーっと息を吐いて、愛しい彼の姿を今か今かと待ちわびた。

待ち合わせ時間から3時間以上過ぎて、連絡の取れない藤ヶ谷さんのことがだんだん心配になってくる。

そこで、ぎゅっと握りしめていた携帯が震えた。

「もしもし、藤ヶ谷さんっ？！」

『Aちゃん…ごめん、連絡出来なくて』

聞きたかった声に心が震えたけど、次の言葉に心は凍ってしまった。

『今日は…会えない』

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