『インモラル 4』

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「りんごみたいだね」

藤ヶ谷さんがフッと笑うからムッとすると「怒りんぼ〜」って頬っぺたをムニムニされた。

藤ヶ谷さんってめちゃめちゃ甘いっ！

みっくんだったらこんなの考えられない。

「あ、そうだ、Aちゃんって勉強会行くの？」

「あ、はい」

「俺、行かないつもりだった」

ええっ？！

「北山に昨日聞かれたんだよね、俺も勉強会に行くのかって」

そういえば、みっくん気にしてたもんね。

「藤ヶ谷さんは行かないんですか…？」

ショック…。

「Aちゃん行くなら希望出して行こうかな」

「ほんとに？」

やったぁ！

「うん。でも北山には行かないって行ったんだけど、Aちゃん秘密にできる？」

「できるっ！」

「じゃあその日の夜は一緒に過ごせるね」

夜、私って今井さんと同じ部屋？それだと抜け出しにくいな。

また今井さんに聞いてみよう。

ん〜っ！楽しみ！！

「早く勉強会の日にならないかなっ」

「まだ2ヵ月あるよ」

今は12月で、勉強会は2月半ばにあるから、確かにまだまだ先だけど。

「…さすがにクリスマスは会えないですよね」

恋人達が一緒に過ごすクリスマス。

けれど私達は…。

「会えるよ」

「ほんと…？」

「うん、俺は大丈夫。Aちゃんのが難しいんじゃない？」

…ほんとだ。

24日は日曜日でみっくんも家にいるし。

「何とか会える方法、考えますっ！」

「無理しなくていいよ。確かにイベントの日って大事だけど、俺はいつでもいいから。Aちゃんとこうして一緒に過ごしてる今のこの時間が特別だって思ってる」

「藤ヶ谷さん…」

「24日じゃなくてもいいからさ、一緒にケーキ食べようね」

頷く私の髪の毛を指で撫でるから、気持ちよくて目を瞑った。

「ショートケーキがいいかな、チョコレートケーキかな。アイスクリームケーキもいいよね」

ケーキの話ばっかりの藤ヶ谷さんに思わず笑ってしまった。

しかもケーキのチョイスが子どもだし。

「ワインで乾杯、とかじゃないんですか」

「そういうのが良かった？」

良くない。だってお酒飲まないし。

「ケーキがいい」

「良かった。俺もクリスマスはケーキがいいな」

いい大人のくせに、お酒よりも甘いものな藤ヶ谷さん。

少しずつ彼の色んな面を知っていく。

それがとても嬉しい。



神様が味方してくれたと思っていたこの恋。

それは私の幻想だった。

道徳に背いたこの想いが、許されるはずがない。

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