検索窓
今日:7 hit、昨日:7 hit、合計:501,041 hit

121 ページ23

次の日。

みっくんを送り出してから慌ててクローゼットの奥から買った服を引っ張り出した。

メイクして、へアセットして、最後に玄関で全身を鏡に写した。

こんな気合い入れておしゃれしたの久々。

なんか気持ちがフワフワする。

玄関を出てエレベーターを待っていると、一美さんと一緒になった。

一美さんは私を見て「お出掛けですか?」って聞いてきた。

気合い入ってるもんね、私…。恥ずかしい。

「はい、あの久々に友達と遊ぶんです」

「友達…」

何?なんか変?

「どんな友達なんですか?」

「どうしてですか」

なんだかムッとしてしまう。

「あ、ごめんなさい…。なんかデートみたいな格好だから」

当たりです、デートです…。

「もぉ〜、違いますよっ!」

一美さんの肩を軽く押した。いつもこんなに馴れ馴れしくしないから、一美さんはますます訝しげな顔。

嘘つくのって、大変…。



一美さんと別れて待ち合わせ場所の駅へ向かった。

藤ヶ谷さんの車が停まっているのが見えて駆け寄った。

すると藤ヶ谷さんが車から降りて、助手席のドアを開けてくれた。

「おはようございます…」

「おはよう」

助手席に座ると、藤ヶ谷さんも運転席に座った。

藤ヶ谷さんの手が伸びてきてドキッとしたけど、シートベルトを着けようとしてくれただけだった。

「じゃあ行こうか。少し遠いからあまり長くいれないし、車乗ってる時間のが長そうだけど」

苦笑する藤ヶ谷さん。

「一緒にいれるなら車の中でも紅葉でも何でもいいです」

今一緒にいれるこの時間がすごく尊くて、大事だから。

「…うん、俺も」

ああ、やばい。まだ会ったばかりなのにもう寂しくなってきた。

「少ししか時間ないけど、たくさん楽しもうね」

「はいっ!」

泣かないように精一杯笑うけど、藤ヶ谷さんには見抜かれていたみたいで、「そんな悲しい顔して笑わないでよ」って頭を撫でられて涙が零れた。

「うう、だって少ししか時間ないって言うからっ…」

「実際そうでしょ。だからその分濃い時間を過ごそうねって意味だよ」

「100時間くらい居た気持ちにさせてくれますか」

鼻をすすりながら聞くと「どんだけ紅葉見るんだよ」って笑いながらティッシュをくれる藤ヶ谷さん。

「ふふ」

「…良かった、笑ってくれて」

藤ヶ谷さんが優しく微笑んだ。

寂しい顔を見つけてくれて嬉しかった。

今度はほんとの笑顔で藤ヶ谷さんを見つめた。

藤ヶ谷さん、大好きです。

好きすぎて、苦しい。

122→←120



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (355 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
986人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ayachoko(プロフ) - ゆいゆいさん» ゆいゆいさん(*^^*)お忙しいのに貴重なお時間で読んでくださり感謝の気持ちでいっぱいです(T-T)更新のペースが早くて大変だと思いますのでゆっくり読んでいただければと思います(。>д<)ビジネスホテル、アレがないですもんね(笑)でもいかにも不倫っぽい場所かも(^^; (2017年9月27日 7時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいゆい(プロフ) - 太輔くんの主ちゃんは俺のだよっていうセリフにキュンキュンしました!!でも、一線越えたのがビジネスホテルで色々心配ですね笑 最近忙しくてお話しに追い付けていなかったりしますが、これを読むのが本当に楽しみになってます(^.^) (2017年9月27日 1時) (レス) id: 1462413259 (このIDを非表示/違反報告)
ayachoko(プロフ) - sioriさん» sioriさ〜ん(*≧∀≦*)お忙しい中来て下さりありがとうございます!(*^^*)みっくんと穏やかに暮らしていけませんでした。欲に負けました、私←なりきり(笑) みっくんがいるのに贅沢すぎですよね(^^; (2017年9月24日 21時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)
ayachoko(プロフ) - 紀輔さん» 紀輔さ〜ん(*≧∀≦*)んふふ、私BLは藤北だけは読んでるのです…( 〃▽〃)紀輔さんの文、すごく読みやすくて羨ましいです(T-T)北藤のプレゼントのお話、にやけました〜( 〃▽〃)攻めのみっくん、最高でした( 〃▽〃) (2017年9月24日 21時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)
ayachoko(プロフ) - ピンクマカロンさん» そして、『あの夜君に抱かれたら』の藤ヶ谷さんですが、なんであんなに甘くてえろい藤ヶ谷さんが書けるんですかっ!もうドストライクでニヤニヤしちゃいました( 〃▽〃)更新、楽しみにしています!コメント見ると他の方も待ってるみたいですしねっ(*≧∀≦*)←圧力(笑) (2017年9月24日 21時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ayachoko | 作成日時:2017年9月12日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。