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「…つかさぁ、藤ヶ谷さんて今日休みじゃないの?」

俺、電話していいの?って玉森くん。

「けど藤ヶ谷さんと一緒にいるなら皐月さんも玉森くんからの電話には出ないだろうし、いいんじゃない?」

「…とりあえずかけてみるわ」

「待って!」

玉森くんの携帯を持つ手を掴んだ。

「なに」

「ハンズフリーにして」

皐月さんが何て言ってるか聞きたい。

「…悪趣味っすね」

「いいから、はい、お願い」

コール音が鳴る。

『…もしもし』

出た!

『裕太…』

皐月さんの潜めた声が聞こえた。

「うん」

『どうしてかけてきたの?』

「ちょっと色々あって…」

そう言い、私を睨む玉森くん。

『もしかして、私とまたやり直す気になった?』

覇気のない声。皐月さんらしくない。

けどいつもの偉そうな皐月さんよりはよっぽど好感が持てた。

「違うけど、この前いきなり電話切っちゃったから…ごめん」

『ううん、嬉しい。ねぇ、それより好きな人って誰なの?私より魅力的なの?』

好きな人?

玉森くんを見るけど目を逸らされてしまった。

「それは言えない」

『裕太…『皐月、体調どう?』あっ、』

プツッ、ツー、ツー。

藤ヶ谷さんの声が聞こえたと思ったら電話が切れた。

今、一緒に居るんだ…。

夫婦だし、当たり前だけど。

「切れた」

「…うん」

「満足した?」

「…全然」

「何だよ、それ」

「ごめんね…」

何やってるんだろう。

「…バカじゃん」

俯く私の肩をグーで小突く玉森くんだけど、声は異様に優しかったから泣けてきた。



職場の駐車場に着き、玉森くんにお礼を言った。

「早く忘れた方がいいよ、北山さん」

「もうわかったから降りてよ」

「じゃあ約束してください。もう藤ヶ谷さんのことは諦めるって」

「…」

「都合のいい時だけしか優しくしてくんない男のどこがいいの」

「違うよ、藤ヶ谷さんはそんな人じゃない…」

「じゃあ今藤ヶ谷さんに電話してみなよ、ぜってー出ないから」

「そういうのを藤ヶ谷さんに望んでるわけじゃないから」

「じゃあ何を望んでんの?」

…何だろう。

けど私こそ藤ヶ谷さんに対して都合のいい時だけ会いたがっている気がする。

「…帰りますね」

玉森くんは車を降りて自転車置き場へ行ってしまった。

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ayachoko(プロフ) - ゆいゆいさん» ゆいゆいさん(*^^*)お忙しいのに貴重なお時間で読んでくださり感謝の気持ちでいっぱいです(T-T)更新のペースが早くて大変だと思いますのでゆっくり読んでいただければと思います(。>д<)ビジネスホテル、アレがないですもんね(笑)でもいかにも不倫っぽい場所かも(^^; (2017年9月27日 7時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいゆい(プロフ) - 太輔くんの主ちゃんは俺のだよっていうセリフにキュンキュンしました!!でも、一線越えたのがビジネスホテルで色々心配ですね笑 最近忙しくてお話しに追い付けていなかったりしますが、これを読むのが本当に楽しみになってます(^.^) (2017年9月27日 1時) (レス) id: 1462413259 (このIDを非表示/違反報告)
ayachoko(プロフ) - sioriさん» sioriさ〜ん(*≧∀≦*)お忙しい中来て下さりありがとうございます!(*^^*)みっくんと穏やかに暮らしていけませんでした。欲に負けました、私←なりきり(笑) みっくんがいるのに贅沢すぎですよね(^^; (2017年9月24日 21時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)
ayachoko(プロフ) - 紀輔さん» 紀輔さ〜ん(*≧∀≦*)んふふ、私BLは藤北だけは読んでるのです…( 〃▽〃)紀輔さんの文、すごく読みやすくて羨ましいです(T-T)北藤のプレゼントのお話、にやけました〜( 〃▽〃)攻めのみっくん、最高でした( 〃▽〃) (2017年9月24日 21時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)
ayachoko(プロフ) - ピンクマカロンさん» そして、『あの夜君に抱かれたら』の藤ヶ谷さんですが、なんであんなに甘くてえろい藤ヶ谷さんが書けるんですかっ!もうドストライクでニヤニヤしちゃいました( 〃▽〃)更新、楽しみにしています!コメント見ると他の方も待ってるみたいですしねっ(*≧∀≦*)←圧力(笑) (2017年9月24日 21時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ayachoko | 作成日時:2017年9月12日 20時

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