『インモラル』

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自宅に戻ると皐月さんはソファで寛いでいた。

「皐月さん、ごめんなさい」

私が謝ると皐月さんは「ううん。謝るのは太輔よ。出ていっちゃうなんて子どもみたいよね」って笑った。

「ごめんな、皐月」

藤ヶ谷さんは皐月さんの頭を撫でた。

「後でしっかりご機嫌取りしてもらうわよ」

皐月さんが意味ありげに笑った。

胸が苦しくなる。

「ねぇ、Aちゃん。さっき北山さんとも話してたんだけど、私達お友達にならない？」

「え…」

正直、私は皐月さんと仲良くする気にはなれなくて、戸惑う。

「私、主婦のお友達がいなくて。前から欲しいなって思ってたの。ね？いいでしょ？」

「いいだろ？A」

「でも…」

「…藤ヶ谷の奥さんと仲良くしたくない理由でもあんの？」

「そんなこと、ないけど…」

「ならいいじゃん」

結局私は皐月さんとも連絡先を交換することになってしまった。




藤ヶ谷さんと皐月さんが帰って洗い物をしていると、後ろからみっくんが抱きついてきた。

「A、そんなん後でいいから、な？」

「でも今洗っちゃいたいし」

「…んだよ」

不機嫌な声でそう言いソファにどかっと座るみっくんを見て、慌てて洗い物を中断して手を拭いた。

ソファに座るみっくんの足元に座った。

「洗い物、やっぱり後にする」

「…」

ふいに、みっくんが私の頬を撫でた。

いきなりだったからビクッとすると、みっくんが「その反応、藤ヶ谷に触られた時もしたの？」って冷めた声で聞いてきた。

「…ううん」

「あっそ」

何が聞きたいのかわからなくて困ってると、みっくんが「この間言ったこと、訂正するわ」って言った。

「この間言ったことって？」

「子ども。やっぱり早く作ろう」

私の服を脱がそうとしてくるみっくんに焦る。

「で、でも」

「毎日すればすぐ出来るだろ」

「毎日って…」

「赤ちゃん出来たら仕事もやめないとな」

私が反応するところを知り尽くしているみっくんに弄られて、身体はどんどん熱くなっていく。

余裕のない表情で私を抱くみっくん。

《Aちゃんって太輔のこと好きでしょ》

《きっと旦那さんも気づいてる》

皐月さんの声が頭から離れなかった。

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