『インモラル』

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そして日曜日。

「じゃあ行ってくるわ。終わった後飲みにいくからご飯いらねぇから」

みっくんは昨日の夜、お友達から電話があって、フットサルに誘われたから行くみたい。

「遅くなるの？」

「んな寂しそうな顔すんなよ。久々に会う奴らだからゆっくり喋りたいし」

「はぁい…」

つまんないの。

天気もいいし、どこか行こうかな。

ふと、絵本のワークショップのことを思い出す。

…一人でいっちゃおうかな。やっぱり興味あるし。

電車に乗ってワークショップへ向かった。

たくさんの親子連れが楽しそうにしていて、そのあたたかい雰囲気に心がほっこりした。

「Aちゃんっ」

声をかけられて振り返ると藤ヶ谷さんが走ってきた。

「来てくれたんだ。…あれ？北山は？」

「え…？あ、みっくんはフットサルに行っちゃいました…」

「え？じゃあ一人で来たの？」

「はい…」

どういうこと？

「じゃあ一緒にまわろうか」

「え、でも藤ヶ谷さんは？」

「僕も一人だから」

藤ヶ谷さんが笑う。

ああ、ダメだ。この笑顔に一瞬で気持ちを引き戻されてしまう。

「行こ？」

「はい…」

よくよく話を聞いてみると、この間私に渡そうとしたのはこのワークショップのチラシだったみたいで、みっくんにこの間会ったからチラシを渡したけど行かないって受け取ってくれなかったみたい。

藤ヶ谷さんと二人で、絵本に出てくるホットケーキを作って食べたり、昔のおもちゃで遊んだり、絵本を手にとって笑ったり、すごく楽しかった。

「竹馬って難しいね、全然駄目だったなぁ〜」

建物内のカフェに二人で入った。藤ヶ谷さんは楽しそうにさっきやった竹馬の話をしてる。

「でも藤ヶ谷さん、上手でしたよ。私なんて歩くどころか立つことすら出来なかったし」

「ガクガクしてたもんな、笑えた」

「ひどいっ」

「はは」

身体がふわふわ浮いてるような気持ちになる。

藤ヶ谷さんと楽しくお話して、笑顔をたくさん見れる。

すごく楽しい。

話が一区切りしたとこで藤ヶ谷さんが「そろそろ帰ろうか」と言った。

藤ヶ谷さんの言葉に悲しくなった。けど仕方ないよね。

「…はい」

「今日どうやって来たの？」

「電車で来ました」
　
「なら送るよ。今日、車で来たから」

藤ヶ谷さんの車に乗せてもらえるの？

「はいっ！」

すごく嬉しくなる最低な私。

「じゃあ行こうか」

どきどきしながら車に向かった。

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