『インモラル』

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夜の23時。

リビングのテーブルに顔を伏せたまま寝てしまっていた私は玄関の鍵が開く音に目が覚め、立ち上がり玄関へ向かった。

「みっくん、おかえりなさい」

「あれ？Aまだ起きてたの？先寝てていいっつったじゃん」

…お酒くさい。

「また飲んできたの？」

「付き合いなんだから仕方ねぇだろ」

台所へ向かい、冷蔵庫からお水を出してゴクゴクと飲むみっくん。

…今日は排卵日なのに。するって約束したじゃん。

赤ちゃんがなかなかできない私達。
っていってもまだ結婚2年目なんだけど、みっくんのお母さんと私のお母さんが遠回しに赤ちゃはんまだ？って聞いてくるから私も焦ってしまっている。

みっくんはというと、全く気にしてないみたいで、えっちする日だって自分がしたい日にするっていう感じで、全く協力してもらえない。

まあ、排卵日だからしよ！なんて言われても萎えるよね…。

一人でモヤモヤしてしまい、ふとみっくんを見るといつのまにかソファーで寝てしまっていた。

「…もう」

くかーって子どもみたいな寝息をたてるみっくん。
タオルケットをかけてあげて、リビングの電気を消した。



結婚生活ってこんなものなのかな。

付き合ってる時はあんなにどきどきしたり、幸せを感じたりしていたのに。

それとも何も起こらない今こそが一番平凡で幸せなの？

焦がれるような気持ちにはならなくても。

そう。ただ平坦な道をぼんやりと歩いているような毎日でも、これが何気ない幸せなんだろう。






「みっくん、朝だよ」

朝、目覚まし時計だけじゃなかなか起きないみっくんを起こす。

寝ぼけた顔のまま、朝ごはんを食べながら新聞に目を通すみっくん。

「そのサラダのドレッシング、お客さんにお勧めよって教えてもらって買ったの。どう？美味しい？」

「ん〜」

ん〜って何？美味しいの？美味しくないの？

…まあいっか。



ゴミ袋を手に玄関で靴を履くみっくん。

「んじゃ行ってくるわ」

「うん、いってらっしゃい」

玄関のドアが閉まって、溜め息をついた。

…今日はパートはお休みの日。

何をしようかな。

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