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由宇side
あんな強引な太輔、初めて見た。
二人が出ていった扉を見つめていると「びっくりだよね〜」って浩輔。
「兄貴さ、Aちゃんのこと教育してるみたいだよ?」
「教育…?」
「なんかさ、あの子フワフワしてんじゃん?だから」
「だからって…」
「ほら、親父のお気に入りだし」
「え?」
「つかさ、由宇さんと付き合ってた時、兄貴あんなんじゃなかったよね?」
「…そうね」
私と太輔は大学生の頃付き合っていた。
突然振られて別れたけれど。
未だに理由はよくわからない。
「満たされない思いをAちゃんにぶつけてるんじゃないかなぁ〜」
「満たされない思い?」
「ほら、兄貴が由宇さんに別れを告げたのって、親父のせいだからさ」
「おじ様の…?」
そんなの初耳だ。
「由宇さんのお父さんとうちの親父、昔から仲悪いじゃん?だから由宇さんがお嫁さんに来るの嫌だったみたいだよ?」
確かにうちの父親とおじ様は犬猿の仲だ。
「おじ様に言われたくらいで、そんな」
「いや、兄貴はさ、昔から親父の人形だから。親父が言うことは必ず聞くし。由宇さんも知ってるっしょ」
私が振られたのは、おじ様のせい…?
「じゃあ太輔は本当は私とは別れたくなかったってこと?」
「ん〜、だってさ、別れた時ちょっと兄貴、荒れてたし」
「…」
「Aちゃんはさ、うちの受付で働いてるんだけど、すごい従順ないい子らしいし、親父の好きそうな感じだよね〜」
私は気が強い。彼女とは違い自分の意志もちゃんと伝えられる。
でもそれがおじ様には気に入らなかったってことなの?
お父様のことも含めて。
「…由宇さんなら、助けられるんじゃないかな?兄貴を」
「私が…?」
「ああ。親父の呪縛から」
いささか信じられないけど、有り得ない話でもない。
「俺、この家に戻るつもりだし協力するよ」
「…二人の仲を引き裂くつもり?」
「引き裂くって言い方悪いよ(笑)狂った兄貴を助けるのさ」
さっきの太輔を思い出した。
私の知らない彼。
「兄貴は、本当は由宇さんと一緒になりたいんだよ」
浩輔が珍しくまっすぐな目をしてそう言った。
「…よく、わからないわ」
浩輔を置いて地下室を出た。
諦めかけていた思いが、溢れてくる。
玄関を出て振り返り、藤ヶ谷家を見上げた。
もし太輔が本当におじ様の呪縛に悩んでいたとしたら。
助けてあげられるのは、私だけなのかもしれない…。
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ayachoko(プロフ) - mayumitsuさん» はじめまして(*^^*)…ですが、mayumitsuさんの作品を実は読んだことが何度かあるので何だかはじめましてな気がしません(笑)一気に読んでくださってありがとうございます(。>д<)サイコパスな藤ヶ谷くんを観たいですよね(*≧∀≦*)コメントありがとうございました(*^^*) (2018年12月21日 16時) (レス) id: dab39b035a (このIDを非表示/違反報告)
ayachoko(プロフ) - 玲さん» 玲さん〜(;∀;)いつも本当にありがとうございます…!!このままドロドロ作者として突っ走っていきます(笑)ほんと藤ヶ谷くんにぜひまた野島作品に出てもらいたいですよね(*≧∀≦*)励ましのコメント、ありがとうございました(*^^*) (2018年12月21日 16時) (レス) id: dab39b035a (このIDを非表示/違反報告)
ayachoko(プロフ) - くまのこさん» くまのこさん、はじめまして(*^^*)ええっ、ほんとですか(;∀;)嬉しいです〜(。>д<)更新通知が私の作品でガッカリしてる人多いだろうなと更新する度にいつも思っていたので(;_;)優しいお言葉ありがとうございます!更新頑張ります(*≧∀≦*) (2018年12月21日 15時) (レス) id: dab39b035a (このIDを非表示/違反報告)
mayumitsu(プロフ) - はじめまして。すごく惹き込まれるお話で朝から一気読みしちゃいました。サイコパスみな藤ヶ谷先生にめちゃくちゃゾクゾクします…!リアルでもこんな役の藤ヶ谷さんが見てみたくなりました。更新楽しみにしています(^-^) (2018年12月21日 8時) (レス) id: 98d98b9cc2 (このIDを非表示/違反報告)
玲(プロフ) - ayachocoさん!そんな風に思わないで下さい!暗くてもドロドロでも、ayachocoさんの作品が大好きな人は沢山いるでしょうし、私がその中の一人ですから。野島作品に是非うちの藤ヶ谷さんをバンバン起用して欲しいものですよね!絶対イイ芝居するのになぁ〜! (2018年12月20日 20時) (レス) id: b7c4bcac2b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ayachoko | 作成日時:2018年5月25日 22時