ぼくたちの失敗

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後ろからぎゅっと抱きしめる先生。
両腕の上からホールドするように先生の腕の中に閉じ込められて身動きがとれない。

諦めて動かなくなった私の首筋を先生の舌が這う。

「先生っ…、やだ、」

太腿をゆっくりと撫でる先生の手を阻止しようとした手のひらは、先生の指が絡められた。

「なんでやなの？」

「だって、下にみんないるし…」

「大丈夫だよ。ここ3階だし、母さん達も盛り上がってるだろうからここには来ないよ」

「でも、私、そういう気分じゃ…」

「駄目？」

囁くように耳元で甘く低い声で言われ、熱をもった痺れが背骨を伝う。

先生の唇や舌が触れたところからじんじんと熱くなっていく。

「や、やだっ、あ、」

「…そんなに嫌ならやめようか」

先生が私から離れて、冷たい空気が身体をまとう。

だけど身体の中心は熱くて、苦しい。

したくなかったはずなのに、疼く自分の身体が全く理解できない。

先生は戸惑う私を観察するようにじっと見つめる。

まるでこの身体は太輔先生の思いのままのような錯覚さえ起こり、怖くなった。

乱れた衣類を直した先生は立ち上がった。

「見せたいものがあるんだ」

先生は引き出しから白い箱を取り出し、私に渡した。

「開けてみて」

「はい…」

何とか気持ちを落ち着けてから開けるとそこにはオルゴールが入っていた。

蓋を開けると中はジュエリーボックスになっていて、そこにはすでにネックレスなどが綺麗に納められている。

「え、あの」

「この間、婚約指輪の下見のつもりでジュエリーショップへ行ったんだよ」

「婚約指輪…」

「そしたらさ、Aに似合いそうな可愛いアクセサリーがたくさんあって」

先生は話しながら、私が持つオルゴールの中のネックレスをひとつ取り出した。

「選べなくて色々買ったら、今度はそれをしまっておく箱が欲しくなっちゃった」

「へ…」

「馬鹿だよな、俺」って照れくさそうに笑った先生は、取り出したネックレスを着けてくれた。

「よく似合ってる」

「ありがとうございます…」

「指輪のとこは開けてあるから、婚約指輪買ったらしまうといいよ」

「…太輔先生、結構衝動買いするタイプですか」

「うん、欲しいものはすぐ手に入れたいタイプかも。ね、それよりさ、オルゴール聞いてみて」

先生に言われ、ネジを回す。

「あれ、この曲…」

「え？知ってるの？かなり古い曲だよ」

「母が好きだった曲だから…」

それは私が生まれた年より随分前の洋楽だった。

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