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そこからは北山さんの話もあまり耳に入らなくて、そうこうしている内に駅に着いてしまった。
「すいません、ありがとうございました。じゃあ、また」
北山さんが降りると、さっきまで賑やかだった車内は一気に静かになる。
何も話さない先生。
私も何を話したらいいかわからなくて、そうこうしている内に自宅のアパートに着いてしまった。
「あ、ありがとうございました…」
蚊の鳴くような小さな声しかでない。
私の言葉に振り返った先生は「遅くまでごめんな」と優しい声でそう言った。
安心したのもあるけど、柔らかい笑顔になんだか胸がきゅっとなった。
もう少し、一緒にいたい。
「あの、良かったら少しあがっていきませんか?」
「え?」
「もう少しだけ、一緒に居たいです…」
言ってから恥ずかしくなり下を向いた。
「…じゃあ、少しだけ」
その言葉にパッと顔を上げて先生を見ると、先生は「初めて入るから緊張するな」って少し照れ臭そうに笑った。
誘ったの、迷惑じゃないんだ。
先生の顔を見て私は安心した。
人の顔色をすぐ窺ってしまうのは私の悪い癖で。
わかっていてもなかなか治せない。
相手からは、「気を遣われ過ぎて落ち着かない」と言われてしまっても、気を遣わないことができない自分。
いつか先生にも愛想を尽かされてしまうだろうか。
「…どうかした?」
「いえ…」
こんなにも不安になるのは、愛されることに慣れてないからかな。
私は車を持っていないけど、一部屋に一台分ずつ駐車場があるから彼は駐車場に車を停めた。
車幅の広い車だから、うちの狭い駐車場だといっぱいいっぱいでなんだか申し訳なくなった。
階段を上がって2階の自分の部屋に行き、鍵を開けた。
「狭くてすみません…」
「いや、そんなことないよ。お邪魔します」
そんなことあるに決まってる。彼の家とあまりにも違うから。
けど物珍しそうに部屋を見渡す先生はなんだか新鮮で可愛かった。
「良かったらここに座ってください。今お茶をいれますね」
「ありがとう。にしてもさ、突然お邪魔したのにこんなに片付いてるなんてすごいな」
「…散らかってると、ソワソワしちゃうんです」
「いいお嫁さんになりそうだね」
「もちろん、俺のね」って可愛く笑う先生。
「先生が奥様に私達のことを話しちゃうからびっくりしました…」
「もう逃げれなくなっちゃったから?」
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ayachoko(プロフ) - mayumitsuさん» はじめまして(*^^*)…ですが、mayumitsuさんの作品を実は読んだことが何度かあるので何だかはじめましてな気がしません(笑)一気に読んでくださってありがとうございます(。>д<)サイコパスな藤ヶ谷くんを観たいですよね(*≧∀≦*)コメントありがとうございました(*^^*) (2018年12月21日 16時) (レス) id: dab39b035a (このIDを非表示/違反報告)
ayachoko(プロフ) - 玲さん» 玲さん〜(;∀;)いつも本当にありがとうございます…!!このままドロドロ作者として突っ走っていきます(笑)ほんと藤ヶ谷くんにぜひまた野島作品に出てもらいたいですよね(*≧∀≦*)励ましのコメント、ありがとうございました(*^^*) (2018年12月21日 16時) (レス) id: dab39b035a (このIDを非表示/違反報告)
ayachoko(プロフ) - くまのこさん» くまのこさん、はじめまして(*^^*)ええっ、ほんとですか(;∀;)嬉しいです〜(。>д<)更新通知が私の作品でガッカリしてる人多いだろうなと更新する度にいつも思っていたので(;_;)優しいお言葉ありがとうございます!更新頑張ります(*≧∀≦*) (2018年12月21日 15時) (レス) id: dab39b035a (このIDを非表示/違反報告)
mayumitsu(プロフ) - はじめまして。すごく惹き込まれるお話で朝から一気読みしちゃいました。サイコパスみな藤ヶ谷先生にめちゃくちゃゾクゾクします…!リアルでもこんな役の藤ヶ谷さんが見てみたくなりました。更新楽しみにしています(^-^) (2018年12月21日 8時) (レス) id: 98d98b9cc2 (このIDを非表示/違反報告)
玲(プロフ) - ayachocoさん!そんな風に思わないで下さい!暗くてもドロドロでも、ayachocoさんの作品が大好きな人は沢山いるでしょうし、私がその中の一人ですから。野島作品に是非うちの藤ヶ谷さんをバンバン起用して欲しいものですよね!絶対イイ芝居するのになぁ〜! (2018年12月20日 20時) (レス) id: b7c4bcac2b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ayachoko | 作成日時:2018年5月25日 22時