溺愛ロジック F side

再会 ページ10

「西野梨華ですよ」

横尾先生の言葉に視界が揺れた。

梨華に会える。

あんなに大好きだった彼女に。

そこでひとつ疑問が生まれた。

俺はほんとに広瀬Aが好きなんだろうか。

もともとAに惹かれたのは梨華に似ていたからだ。

もし万が一、梨華と再会してやっぱり梨華が好きなのだと思ってしまったら。

そしたら本当にまずい。

生徒に手を出してしまった。

やっぱり違いました、じゃすまないだろ。

Aからしたら願ってもない展開かもしれないけど、それでもあんな形で処女を奪っておいてこのままさよならなんて出来ない。

いや、愛があっても未成年に手を出す時点で俺は終わってるけど。

もしAも俺のことが好きで、合意の上での行為だったとしても、法律上では何の意味もないのだから。




約束していたから、勉強会と称してAを自宅に招いたけど、梨華のこともあって、手を出すのは躊躇ってしまう。

…なんか浮気でもしてる気分だな。

俺の昔の写真を見たがるA。だけど昔の写真はほとんど捨ててしまっていた。特に学生時代。梨華と別れた時にもう写真を見るのも嫌になったからだ。

お昼に俺は、可愛いAに手料理を振る舞った。あまり得意ではないから実は前の日に同じものを作って練習した。にも拘らず少し失敗したけど。

でも優しいAは喜んで食べてくれて、また何か作ってやりたいと思う。

このままAと一緒にいたら抱いてしまいそうだったから、早々と帰してあげた。



その内に、梨華が講演する日になった。

だけど梨華に実際に会ってみると、心は全く動かなかった。

顔が同じだからAのことが好きなのかもしれないと思っていたけどそうではなかった。

確かに好みの顔ではあるけれど、俺はAのあの従順な性格が好きなんだと再認識できた。気の強そうな梨華のどこが好きだったのか、今では全く思い出せない。

優しく、控えめで、可愛いA。

こんな歪んだ俺と付き合えるのはAくらいだよ。

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