その後 ページ39
北山に頼んでAの様子を見に行ってもらった。
俺が行ってもしAに見つかったらまた怖がらせてしまうかもしれないから。
俺に出来ることといえば、出来るだけ君から離れ、君の記憶から俺が消えるように気配すら感じさせないことだけ。
「広瀬のお兄ちゃんに会ったわ」
「え?」
俺の家に来た北山は「相変わらずでっけぇテレビだな」なんていいながらソファーに座りリモコンを手に取った。
「…お兄さん、何て?」
確か大学生だよな?
「広瀬んちの前をウロウロしてたら北山先生?って話しかけられて、見たら広瀬のお兄ちゃんだった」
「北山、Aのお兄さんに会ったことあるの?」
「前にちょっとな」
「…そうなんだ」
「広瀬、大丈夫か聞いたら…いや、うん。大丈夫だってさ。だからお前はもう気にすんな」
今、変な間があったよな。
「…玉森は?」
「なんかすげぇ献身的に支えてくれてるらしいぞ。広瀬の母親も少し参っちゃってるらしいけど玉森のおかげでだいぶ元気になってきたってさ」
心配なんて俺の杞憂で、Aは玉森に支えの下、ちゃんとやっていけているらしい。
良かった。
だからAが学校の裏庭に座り込んでいるのを見た時は正直ものすごく動揺した。
君がそこにいるだけで、世界が色付いていく。
俺のことが好きだというA。
その甘い声に目眩がした。
今すぐ抱きしめて連れ去りたい。
けれど君を幸せにする術を持ち合わせていない俺は、好きな人がいると嘘を吐きAを突き放した。
己の弱さを隠しきれなくなるその前に。
「横尾先生、すみません。準備室ありがとうございました」
去っていくAの背中を見送った後、横尾先生に軽く頭を下げた。
「皮肉なもんだな」
横尾先生がポツリと呟いた。
「君のせいで声を失ったのに、君に会えたことで声を取り戻すなんて」
「声を失ったって…」
北山はそんなことは言っていなかった。
「愛にはいろいろな形があるというが、こんなにも歪んだ愛を目の当たりにしたのは初めてだ」
「…そうですか」
「命を絶とうと思えるほどの狂気に満ちた君を救えるのは彼女だけかもしれないな。梨華には無理だった」
「…」
「私から見たら広瀬A、彼女もまたそういう強すぎる愛を求めてしまう人間にみえる」
Aが…?
「お似合いだよ、君たちは」
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ayachoko(プロフ) - *カスミソウ*さん» カスミソウさん!(;∀;)こんな暗い話にもったいないくらいの嬉しいコメントありがとうございます(;_;)一気に読むの、大変でしたよね(^^;玉森先生Ver.も近々アップします!ほんとに嬉しいです(/_;)ありがとうございます(*≧∀≦*) (2017年9月1日 7時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)
*カスミソウ*(プロフ) - 溺愛ロジックすべて読みました!とっても面白くて、一気に読んでしまい気づいたら4時間ぐらいたってましたwww新作のインモラルもドキドキですし、玉森先生Ver.も気になります!更新を楽しみにしております!応援しております!頑張ってください! (2017年8月31日 22時) (レス) id: 0fb920ca18 (このIDを非表示/違反報告)
ayachoko(プロフ) - ましろさん» ましろさんっ( ;∀;)嬉しすぎるお言葉ありがとうございます(。>д<)私もヤンデレ藤ヶ谷くんが大好きです(笑) (2017年8月15日 20時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - 素敵な藤ヶ谷さんを描いて下さって本当に有難うございます!大好きです、このたいぴ(笑) 他の作品も次回作も楽しみにしています! (2017年8月15日 16時) (レス) id: df578ce2f7 (このIDを非表示/違反報告)
ayachoko(プロフ) - ましろさん(*^^*)こんな駄作に優しいお言葉ありがとうございます(T^T)今後ドラマとかで狂った役とか藤ヶ谷くんにやって欲しいな〜(笑)好青年は興味なしです(о´∀`о) (2017年6月22日 12時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ayachoko | 作成日時:2017年5月5日 8時