9話 晴天嫌う蛍は、今日も忌々しげに空に嘆く ページ10
・
「同棲なんて聞いてませんよ!」
今日も探偵社内に少年、中島敦の叫び声が轟いた。
そんな彼の叫び声を無視し、ヘラヘラと太宰は笑いながら部屋が足りなくてねぇ〜と云う。そんな中、マフィアの幹部、坂東Aは退屈そうに欠伸をしていた。
怠けた声を出しながら、坂東は窓の方に歩いて行きぼんやりと外を眺める。然し、其の表情は曇っており忌々しそうに其の晴天を睨み付けた。
「あーぁ、本当に晴天って嫌いだよ。」
すると、突然谷崎が慌てた様子で社に駆け込んできた。
其を見て太宰も坂東の横に並ぶように窓に駆け寄り汗を滴ながら困ったように笑っていた。其を、坂東は横目でチラリと覗く。矢張其の表情は冴えない侭だった。
▽
「この会社を買いたい。」
そう、ギルドの長フィツジェラルドは云ったそうだ。その場に居なかった坂東は知らないが、其処ではギルドと武装探偵社に由る戦いの火花が散り始めていた。
だが、時期に其の闘いに坂東の所属するポートマフィアも加わることになるとは、誰が思った事だったろうか。
異能三大組織がぶつかり合う。
横浜の町が騒がしくなるのは、もう、遠くはないことだ。
▽
「おい!朝刊見たか!?」
「報道でも遣ってるよ。」
翌日、ギルドの宣言通り探偵者の社員、宮沢賢治が消え、そしてポートマフィアの所有するフロアの入ったビルが一夜にして消えた。
ギリッと坂東は下唇を強く噛んだ。余りにも強く噛んだのか下唇を噛みきり、血が出ている。
探偵者に会ってから三日目。
矢張今日も彼の機嫌は悪かった。
「こんなに気分が悪いの、久し振りだよ。」
何時振りだろうか、と心の中で溢す。
其も何れも、昨夜の事が原因である。
「本当、最悪だよ。"太宰さん"。」
忌々しげに、眉間に皺を寄せ今日も晴れ渡る空を彼は窓から睨み付けた。
・
10話 蛍は悩む、蛍は悩む月に照されながら→←8話 真実虚実、蛍の兄は頭を抱え悲しみを見る
74人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
綾舞町 - 小夜さん» レスが遅れて申し訳御座いません!有難う御座います。ぼちぼち更新して行きますが、皆様に楽しんで貰えるような作品にしていきます。 (2016年2月28日 18時) (レス) id: 4a08da8a5b (このIDを非表示/違反報告)
小夜(プロフ) - 楽しく読ませていただいています。更新頑張ってください。 (2016年2月27日 21時) (レス) id: 7f5dee31f8 (このIDを非表示/違反報告)
綾舞町 - 吾嬬さん» 誠にありがたきお言葉、光栄です。皆様の期待にお応え出来るような物語を書き綴って行きたいと思います。応援、宜しくお願い致します。 (2016年2月15日 21時) (レス) id: 4a08da8a5b (このIDを非表示/違反報告)
吾嬬(プロフ) - 続きが愉しみです 、更新頑張ってください (2016年2月15日 21時) (レス) id: b2b5f854fe (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:綾舞町 | 作成日時:2016年2月15日 21時