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ひよこ #22 ページ24

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「 僕は君の全てを知ってる!クセ、好きなもの、人間関係。守沢や、鬼龍みたいな変わった奴とつるむ必要ないよ。“俺”が“A”を守ってあげる。俺だけを必要としてくれればいいんだ!俺はこんなにもAを愛してるんだよ?Aも愛してくれるよね? 」




一気にまくしたてるように言う鈴木くんが
怖かった。


__私が知ってる鈴木くんじゃない。




「 きゅ、急に...なんで...? 」



震える声でそう尋ねる。

数分前まで、彼は温厚な微笑みを浮かべていた
はずだ。




鈴木くんは俯く。



「 ...我慢、できなくなったんだよ 」

「 え...? 」



どういう、こと?




「 一目惚れ、だったんだ。
最初は見てるだけで幸せだった。

でも、いつか思うようになったんだ。


“俺だけを見て”って 」




そう顔を上げた鈴木くんの瞳は、狂気を
宿していた。

逃げなきゃ。



そう感じて彼の腕の下をくぐり抜ける。

教室のドアに手を伸ばす。





「 待ってよ、A 」



ぐっと腕を掴まれ、伸ばした手は空を切った。



「 だめだよ、彼氏から逃げるなんて 」

「 ちが、 」




彼氏?何言ってるの?

彼の中で私は彼女にされている。


そんなの、怖すぎる。




「 君を手に入れるために俺がどれだけ
頑張ったか...邪魔な守沢と鬼龍を追い払って 」



..守沢くんと鬼龍くん?

私は何かが引っかかった。





「 それ...どういうこと? 」



私が尋ねると、鈴木くんはさも愉快そうに言ったのだ。




「 __あぁ、まだ言ってなかったね。
君が男子更衣室に忍び込んだようにみせたのは
僕、だよ 」



ガツン、と鈍器で頭を殴られたようなショックだった。



「 クラスの奴らだけじゃない、他の奴ら全員、僕に騙されて。
滑稽だなあ 」




クラスメイトたちの顔を思い出しているのか、
クスクスと肩を揺らせて笑う。


ただ、それだけのために...そんなことをやったの?



私が呆然としている間にも彼はペラペラと
喋り始める。




「 君のハンカチを置いて、私物を盗むだけで
全員が君を犯人だと勘違いした。
人なんて、そんなもんだよ。

__でも、僕は裏切らない 」



甘い蜜のように、鈴木くんは私に言葉をかける。


そして鈴木くんが、私の頰に手を置いたとき
だった。







『 __鈴木くん、次、移動教室だよ 』



「 !? 」



私の声が、放送機から流れた。









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あるみかん(プロフ) - 優樹菜さん» うわああああ!申し訳ございません、前回他の方にも注意して頂いていたのに…すぐに紅郎に修正いたします! (2017年11月26日 20時) (レス) id: 3df0130dff (このIDを非表示/違反報告)
優樹菜 - #30話で気づいたのですが、鬼龍のしたの名前は、九郎ではなく、紅朗ですよ!(たしか)これからも更新楽しみにしてます! (2017年11月26日 8時) (レス) id: 662403215f (このIDを非表示/違反報告)
あるみかん(プロフ) - p−−さん» ありがとうございます!楽しんでいただけてとても嬉しいです!頑張って更新するので、待っててくれると嬉しいです! (2017年11月23日 21時) (レス) id: 3df0130dff (このIDを非表示/違反報告)
たまたま(プロフ) - 初コメ失礼します!とっっっっても面白い!です!笑一気に読んじゃいましたwもう、続きが楽しみすぎてヤバいです!これからも更新頑張ってください*\(^o^)/* (2017年11月23日 20時) (レス) id: 0907e86698 (このIDを非表示/違反報告)
p−−(プロフ) - ですね! (2017年11月6日 21時) (レス) id: 3280412425 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:*かるぴす* | 作成日時:2017年8月24日 11時

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