ひよこのワルツ【あんスタ】

ひよこ ＃10 ページ12

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「 ........ 」

「 川崎...？ 」




あの酷いライブは終わり、観客たちも講堂を
出て行った。

けれど、私はその場から一歩も動かずにいる。



講堂には、私と蓮巳くんだけ。





「 ...ねぇ、蓮巳くん 」




ずっと黙りこくっていた私は、蓮巳くんに
話しかける。



「 今日、酷いライブだった。なのに、なんでみんなは平然としているの？ 」




あのライブの間、観客は誰1人として動揺していなかった。

あんなの、おかしい。





「 ...あれが、夢ノ咲学院の“普通”なんだ。

【夢ノ咲学院】というブランドに胡座をかき、へらへらとしている。
アイドルもどきの、溜まり場だ 」



蓮巳くんの忠告は、そういう意味だったんだ。

この学院の現状を。




蓮巳くんは「逃げたいと思ったら逃げろ」と
言った。

でも、私は。




「 ...私、逃げないよ 」

「！」




プロデューサーになりたくてここにきたんだ。

逃げたくない。




「 こんなの、間違ってるよ 」




誰もいないステージを見て言う私を、
蓮巳くんはどう思っているんだろうか。






「 ...そうか 」



たった一言だけど、蓮巳くんの声は
安心したような声だった。







____この時の私は、知らなかったんだ。


この一言がきっかけで、ドラマみたいな日常になって行くなんて。








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