アイヌのいろは[参] ページ47
東谷が男に固め技を決めている最中、杉元、尾形、牛山は他の連中を対処していた。
一方、アシリパは天才偽造犯と対面しており、話をしていた。曰く、彼も捕まっていたらしい。
これで偽物の刺青人皮判別方法の手掛かりにでもなれば良いと思うが……。
＜東谷目線＞
｢もう降参？男ってのも案外弱いものね！｣
あれから三人程度に絞め技を繰り出し、落としてやった。殺してはいないから安心して欲しい。
ふと、小屋から外を見る。そこには尾形に撃たれて死んだ者や、杉元によって殺された者の死体に群がる霊達が居た。あぁ、きっと彼等は元々居た村のアイヌ達だろう。
怨み言を述べていたから、良く分かる。殺されたんだ。女達は生きているから、大方成り代わる為に、無益な殺生の対象となってしまったのだろう。私に出来るのは、黙祷だけだった。
─── ｼｭﾊﾟｧﾝｯ!!
私の後ろでドサリ、と音がした。振り替えれば、先程まで生きていたと思われる男の死体があって、脳天に銃弾が通った痕があった。先を見れば、銃を構えた尾形がそこに居て
｢油断はいけねぇなぁ｣
と、笑っていた。側で勇作がとてもはしゃいでいて、それがなんとも対照的で思わずクスッと笑ってしまう。
こんな状態でも笑っているのは、きっと可笑しいのだろう。けれども、笑う。それが東谷 Aと言う私なのだから。
私は殺さないけど、殺されない。
死にたくはない。霊媒師が幽霊になるなんて、誰も笑わないでしょ？
───
────
─────
そこからの制圧は簡単だった。
途中、捕まえた偽村長(鈴川 清弘)が逃げ出すが、おっそろしい尾形の脅迫等によって完全に縮こまってしまった。
さて、ここからは私の復讐劇といこうか。
｢クソ尾形〜？｣
｢結婚云々とやら、あれ、許した覚えないんだけど〜？｣
きっと、今の私はとても爽やかに笑えていたと思う。
｢ははっ、結果、偽物の村って事が分かったから良いじゃねぇか、減るもんじゃねぇだろ？｣
｢へぇ〜……最後の言い訳はそれだけね？｣
霊媒師の力を無駄に使わせて貰おう。
てな訳で勇作さーん！いっちょ、尾形に取り憑いてみようか！
｢おい、待て、何をする気だ…｣
｢大丈夫、大丈夫｣
｢不安なのは一瞬だけだから｣
｢ご安心を！兄様の体は花よりも蝶よりも丁重に扱いますので！｣
尾形が後退りしていく。逃がすか、この野郎。
杉元がナニコレと言う視線で見てくる間に、尾形が茂みを抜けて逃げていくので、私達はそれを追い掛けていったとさ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 34人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：文揚げ | 作成日時：2021年10月4日 17時
