第24話 ページ26
「それでは私はこれで……」
何度も言うが私は早く立ち去りたい。
今度こそ立ち去れると思ったのだが、また引きとめられてしまった。
「急ぎの用事でもあるんですか？ この後探偵社の下の階の喫茶店うずまきって言うんですけど、そこでコーヒーでもどうかと思ったのですが」
賢治君が純粋な笑顔を向けながら言う。
う、そんな笑顔を向けられると断りづらい。それに探偵社の下の階の喫茶店は漫画を読んでて、行ってみたいとは思っていた。
行きたい。でも原作キャラと関わると危険な事件に巻き込まれるかもしれないし。
もう巻き込まれてるけど。
今回はスリだったからまだいいけど、爆弾魔とかそんなのに巻き込まれるのは勘弁だ。
う、うう……。
「でも買い出しが……」
何とかそう言葉を絞り出した。
「スリなんて事件に巻き込まれたんだ。少しくらい息抜きしてもバチは当たらないよ。それに買い出しは私が手伝うよ」
太宰さんはおそらくほとんどの女の子が確実に惚れるだろうかっこいい顔にかっこいい声で言った。
キュンときて、顔を赤く染めてしまいそうになるが、ぐっと堪えて、平常心を保つ。
「何勝手なこと言ってるんだ、太宰。俺たちはこれから仕事があるんだぞ」
国木田さんごもっともです。私は国木田さんに同意しようとしたのだが、賢治君に遮られてしまう。
「僕は太宰さんに賛成です。Aさんが頑張っているという話はAさんの父親から聞いています。今日は息抜きをしましょう。買い出しは僕も手伝います。四人ですればすぐに終わりますよ」
お父さんから聞いてる……？
もしかして賢治君けっこうな頻度でお父さんと会ってます？
賢治君の気遣いは嬉しいけど、正直遠慮したい。
というか仕事はいいのかな、賢治君。
買い出しの手伝いも息抜きもけっこうなので、気持ちだけ受け取らせてください、と言いたかったけど、賢治君の天使のような笑顔を向けられると何も言えなくなってしまった。
「ええ。お気遣いありがとうございます」
結局私の口から出たのは肯定の返事だった。
「勝手に俺を頭数に入れるな」
すいません、国木田さん。
「一般人を助けるのも探偵社の仕事だよ」
最終的には国木田さんからも同意をいただき、流されやすい私は流されるまま喫茶店うずまきに行くことになった。
続く (更新停止中)
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まゆ - 面白かったです^_^ほのぼのしていて、癒やされました^_^これからも、頑張って下さい^_^ (2017年11月10日 23時) (
レス) id: 955180b2fd (このIDを非表示/違反報告)
春音花奏(プロフ) - 二こさん» 誤字の指摘ありがとうございます。誤字ばかりで申し訳ないです。直させていただきます。 (2017年4月26日 18時) (レス) id: 0aa6d15627 (このIDを非表示/違反報告)
春音花奏(プロフ) - くろねこさん» 誤字の指摘ありがとうございます。全然気付きませんでした。なるべく急いで直させていただきます。 (2017年4月26日 18時) (レス) id: 0aa6d15627 (このIDを非表示/違反報告)
二こ - 太宰の一人称は「私」だぞ (2017年4月26日 18時) (レス) id: b637e00f20 (このIDを非表示/違反報告)
くろねこ - 突然のコメント失礼致します。文豪ストレイドックスではなく文豪ストレイドッグスではないでしょうか? (2017年4月21日 19時) (レス) id: c40642156e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春音花奏 | 作成日時：2016年12月24日 16時
