二度目の出会い sideF2 ページ8
なんとか誤解されずに済んだようで、ホッとしながら先ほどの店へと再挑戦。
…よし。
店員が寄ってくる気配なし。
「二人でいれば、話かけられないもんなんですね。」
背後から声が聞こえて振り向くと、この人のよさそうな顔をした男はにっこり笑いながら俺を見つめていた。
ちっか。
通路が狭いから仕方ないんだろうけど。
近いよイケメン。
「そうみたいだねー。」
相槌を打ちながら、顔を前に戻す。
いやあ…綺麗な顔してんな。
どうしよう、モデルとかだったら?
最初に見た時から思ってたけど、足めっちゃ長いし。
大丈夫?
俺、ストーカーとか思われてないよね?
そういえば名前を聞いてなかったなと、今更ながら思い出す。
まあ必要ないけど…
もし芸能人だったら、名前は教えたがらないかな?
だったらここは聞かないでおこう。
心の中では『モデルくん』と呼ばせていただくことにする。
「とりあえず、春物片っ端から見て行っていい?なるべく早く済ませるから…ごめんね、ちょっと付き合って。」
胸の前で両手を合わせながらそう言うと、モデルくんは手をひらひらと振った。
「ゆっくりでいいですって!俺も見たいんですからー。」
気遣いを感じさせない彼の態度に感心する。
いい子だなあ。
「じゃあ、あそこから一緒に見ません?セール棚っぽいですよ!」
「賛成!」
それから一時間後。
思いがけず服の趣味が合った俺たちは、予算を大幅にオーバーする量の春物を買い込んでやっと店から出てきた。
「いやー、ちょっと買いすぎた気がするんだけど(笑)」
「財布が軽すぎます(笑)」
めちゃめちゃ話しやすかったこともあり、一時間でモデルくんとの距離がぐっと縮まったように感じる。
お互い名前も知らないのに、こんなに仲良くなれるもんなんだろうか。
話していくうちにどんどん興味がわいてくるのが不思議だった。
会ったばかりなのに。
友達じゃないのに。
二度と会わないかもしれないのに。
「ごめんね、一時間も付き合わせちゃって。時間とか大丈夫だった?」
「はい、全然!こちらこそ、最後の方は俺が付き合わせてしまって…。」
大きな紙袋を抱えながらぺこりとお辞儀をする。
「今日はいろいろとありがとうございました!」
「こ、こちらこそ!」
もうお別れだと思うとちょっと寂しいけど。
そんなことも言ってられないので俺も別れを告げる。
「楽しかった、ありがとう!」
「はい。じゃあ、またどこかで!」
…あっけなく別れてしまった。
名前も聞けずに。
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かめみつ(プロフ) - 可愛い!可愛い!!2人してしてめっちゃ可愛い〜!!まるで新婚さんのように甘〜い。←まだ付き合っても無いのにw健人がもう女子顔負けの反応しちゃうから、風磨も私もメロメロです〜!でも、これって2人とも告白したようなもんじゃないですか?!うわー、どうなるんだろう。 (2017年12月14日 9時) (レス) id: 2d3b77e4e9 (このIDを非表示/違反報告)
茉莉(プロフ) - 更新待ってました。これからも楽しみにしてます。 (2017年12月6日 0時) (レス) id: c52305c328 (このIDを非表示/違反報告)
さらゆ - ホワホワしたふまけん、最高です!癒されます(*´∀`)♪頑張ってください! (2017年10月29日 17時) (レス) id: b27d37dde6 (このIDを非表示/違反報告)
むー(プロフ) - んっんっんー好きです!!!(号泣き)もう更新されるのを今か今かと……お前らいつくっつくんだよみたいな……こんなにいい作品をありがとうございます!無理しない程度に頑張ってください(> <) (2017年9月20日 23時) (レス) id: 275960a1d5 (このIDを非表示/違反報告)
かとり。(プロフ) - 作者さんの書かれるふまけん本当に大好きで、今でも動き出す恋の時間シリーズ読み返してます笑 また、リアルでのふまけんのお話も書いて欲しいです!もちろんこの歳の差ふまけんも大好きなんで更新待ってます!! (2017年8月14日 23時) (レス) id: bc97254b40 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なんこつ | 作成日時:2017年4月18日 22時