偶然ですか？

二度目の出会い sideK2 ページ7

さすがに自分でもヤバいと思ったのか、お兄さんも慌てて言葉を変える。


「ああいや、もし急いでなかったら、お願いしたいことがあって…。」

気恥ずかしそうにもごもご喋るお兄さんに、思いがけずキュンとくるものを感じる。
…ん？キュン？
いや、確かに綺麗な顔してるけど。
キュンはおかしい。

「僕は、大丈夫ですけど…。どうかされたんですか？」
「ああいや、ホントに大したことじゃないんだけど…。」
なおも口ごもる相手を、目で促す。

「その、さっき会ったばっかの人に頼むのもおかしな話なんだけども…よかったら少しの間だけ、この店で洋服見るの付き合ってくれない…？」


え、洋服？

予想外のお誘いに思わず首を傾げる。
すると再び、慌てて言葉を付け足した。

「へ、変な意味じゃない！ただ、一人で見てるとどうしても店員が話しかけてくるのがイヤで…。」

変な意味がどんな意味なのかがわかんない！(笑)
だけどその言葉に、なるほどとやっと合点がいった。
俺も嫌だもん！
見てるってのに、マニュアルに書かれたとおりのセリフを投げかけてくる店員ね。


「なるほど。全然いいですよ！さっきは僕の買い物に付き合ってもらっちゃいましたし…そのお礼と言ってはなんですけど。」
俺がそういうと、お兄さんはホッと安心した表情になった。

「ホントに？ありがとう…すげえ助かる。」
「とんでもないです！というか、俺も洋服見たいです。」
「あ、そうなの？」
「はい。一緒に見てもいいですか？」
「うん、もちろん！…じゃあ一緒に買い物といきますか？(笑)」
「そうしましょう！(笑)」


あれ、このお兄さんって、こんなに気さくな人だったんだ。
俺の前で無邪気に笑うその顔は、なんだか幼い少年のような雰囲気を漂わせていた。

さっき見せていたかっこいい顔とはまた違う、お茶目な笑顔。
どこか惹かれるものを感じながら、俺はお兄さんの後に続いて目当ての店へと足を踏み入れた。



…あ、そういえば、名前なんていうんだろ。

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