三度目の出会い sideK2 ページ11
「菊池くーん!」
店長が名前を呼ぶと、厨房らしき奥の部屋から「はい」と返事が聞こえる。
「ちょっと来てー」
ガタガタと騒がしい音が聞こえたかと思うと、「今行きますー」という声。
あれ。
この声、なんか聞き覚えが…?
…気のせいかな。
次の瞬間、厨房のスイングドアが内側から勢いよく開けられ、一人の男性が顔を出した。
「…えっ」
「あれ」
……えっ。
えっ!?
「なんで…!?」
…そこに立っていたのは、昨日さんざんお世話になったあのお兄さんだった。
「あれ、昨日の。」
「お、お兄さん、なんでここに…!?」
って。
聞かなくても答えは分かってますけれども!
「今日から入る新人さんって、キミ?」
少し驚いた顔で聞いてくる。
マジか。
マジでお兄さん、ここの店員なのか。
「あっ、は、はい!今日からこちらで働かせていただくことになりました、中島です!よ、よろしくお願いします…!」
慌てて頭を下げると、笑いながら肩をたたかれた。
「そんな畏まんなくていいって(笑)」
顔を上げると、優しく微笑んで自己紹介をしてくれた。
「俺は菊池です。こちらこそ、よろしく。いやー…こんな偶然ってあるもんだね!」
しみじみと頷きあう俺らを見て、店長が口を挟む。
「え、なに2人知り合い?」
「あ…いや、なんといいますか…」
「知り合い…うーん、知り合い、なのか…?」
「…顔見知り?」
「腐れ縁?」
「腐れ縁ってちょっと…!」
「アハハハ!」
自然と沸き起こる笑い声に、だんだんと現実味の湧いてきた俺の脳みそが追いついてきた。
ってことは、今日からお兄さんと同じ職場で働けるってこと…!?
あまりの嬉しさに、思わず小さくガッツポーズをキメる。
「なになになに、どゆこと〜?」
状況が全く理解できていない山下さんと店長に、菊池さんが説明を始める。
その話を聞きながら、ちらりと菊池さんの名札に目をやる。
下の名前は…。
かざま、さん?
風を磨くと書いて…なんて読むんだろう?
「ふうまね。」
「え?」
顔を上げると、菊池さんが俺の方を見ていた。
「なんとなく、考えてること分かったから。俺の名前、ふうまって読むの。…違った?」
「ふうま、さん…。」
不思議な名前。
なんか、ふわふわしてて甘い響きのする名前だな。
何度でも呼びたくなるなぁ…。
俺も名乗ろうとして口を開くと、菊池さんはすでに2人への説明を再開してしまっていた。
うう…つれない人だ。
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かめみつ(プロフ) - 可愛い!可愛い!!2人してしてめっちゃ可愛い〜!!まるで新婚さんのように甘〜い。←まだ付き合っても無いのにw健人がもう女子顔負けの反応しちゃうから、風磨も私もメロメロです〜!でも、これって2人とも告白したようなもんじゃないですか?!うわー、どうなるんだろう。 (2017年12月14日 9時) (レス) id: 2d3b77e4e9 (このIDを非表示/違反報告)
茉莉(プロフ) - 更新待ってました。これからも楽しみにしてます。 (2017年12月6日 0時) (レス) id: c52305c328 (このIDを非表示/違反報告)
さらゆ - ホワホワしたふまけん、最高です!癒されます(*´∀`)♪頑張ってください! (2017年10月29日 17時) (レス) id: b27d37dde6 (このIDを非表示/違反報告)
むー(プロフ) - んっんっんー好きです!!!(号泣き)もう更新されるのを今か今かと……お前らいつくっつくんだよみたいな……こんなにいい作品をありがとうございます!無理しない程度に頑張ってください(> <) (2017年9月20日 23時) (レス) id: 275960a1d5 (このIDを非表示/違反報告)
かとり。(プロフ) - 作者さんの書かれるふまけん本当に大好きで、今でも動き出す恋の時間シリーズ読み返してます笑 また、リアルでのふまけんのお話も書いて欲しいです!もちろんこの歳の差ふまけんも大好きなんで更新待ってます!! (2017年8月14日 23時) (レス) id: bc97254b40 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なんこつ | 作成日時:2017年4月18日 22時