動き出す恋の時間

Q〇zone sideK4 ページ27

ああ…幸せ。

今起こっていることが、にわかには信じられない。
けど、俺は今、風磨と気持ちが繋がったんだ。
そう思うと、やっぱりめちゃくちゃ幸せ…。


風磨の唇が、このまま離れないでいたらいいのに。
幸せを噛みしめるように、そっと目を開ける。
至近距離どころじゃないくらい近くにある風磨の顔。
恥ずかしくなってまた目を閉じる。




…どのくらい時間が経ったんだろう。
しばらくしてやっと、どちらからともなく唇を離す。
風磨の目を見つめると、今度は恥ずかしそうに俯いた。

まだ離れたくなくて、そのまま風磨を抱きしめる。
風磨の手がぎこちなく俺の背中に回り、さらに強く抱きしめる。
…ん？ちょっと苦しい。
え、痛い痛い痛い！力強いって！

「ちょっ…！」
慌てて風磨を引きはがす。
驚いた俺の顔を見て、風磨はニヤッと笑う。
つられて頬が綻ぶ。あーもう、可愛い。



ふうっと息をついて、そのまま話しかける。
「風磨、この後何か予定入ってる？」
俺の言葉に首を傾げる。
「ん、何もないけど？」
「やった。じゃあ、俺と飯でも行かない？」

つい、『やった』なんて口から出ちゃったけど、まあいいや。
風磨はちょっと嬉しそうに笑って立ち上がった。
「いーよ。どこ行く？」

あ。やべ、何にも考えてなかった。
どう誘うかに夢中になって、その後のこと一切頭になかったわ。

しまった、と固まった俺を見た風磨は、おかしそうに笑った。
「実は最近気になってる店があってさ。どう？」
そう言いながら、俺の前に手を差し伸べる。
その手をつかんで立ち上がり、大きく頷く。
「決まり。」


スタジオを出て二人で廊下を歩く。
なんか少し気恥ずかしくなって隣を見ると、風磨が口を開いた。
「中島とは長い付き合いだけどさ。飯二人でって、行ったことあったっけ？」
「それがないんだよね。二人きりは。」
俺の答えに、風磨が頷く。
「だよなあ。いつも他に誰かしらいるよな。」

初めての二人きり。
ただのご飯だけど、二人きりってだけでこんなに緊張するかな？


建物を出て、タクシーに乗り込む。
風磨に行き先を告げられ、すぐに車は走り出した。

「ねえ、どこにあるの？そのお店。」
「んー。ちょっと遠い。」

行き先は教えてくれないみたい。風磨らしいな。
サプライズとか好きな人だから、彼女とかできたらたくさんこういうことするんだろうなー、なんてね。


…彼女、か。
俺はどんなポジションなんだろう？

これから風磨と、どういう関係になるんだろう？

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