貴方が天下の大将軍になるまで、私は‥

21ー蒙恬sideー ページ24

ー蒙恬sideー







…









華「それで…私の代わりに…っ」



恬・賁「……！」






嗚咽で、声にならない声で
辿々しくも話す、彼女の話を聞けば


恐らく…突然現れた男達というのは…。







王賁も同じ事を思っているのか。

いつにも増して
厳しい表情で眉間に皺が寄っている。





恬「…Aを追う。
陸仙は、楽華から手練れを何人か集めて！

Aの救護隊からも数名連れて行こう。」




陸「そんな少数で良いのですか！？
A様の危機とあらば、楽華総勢で探し出すべきでは…！？」




恬「そうしたい所だけど………」






大勢での捜索では
早々にこちらの気配に気付かれてしまう。

そうなればAの身が…危険だ






___いや、それも時の問題か




とにかく急がなければ…！









賁「今は、少数精鋭で
機動力を生かす方が得策だ。」



陸「……そう、ですか。」






恬「李華さん、
相手の男達はどちらに向かったか分かる？」


華「あ…あちらの方向に…」





彼女が指差したのは、丘から続く山道





恬「そうか…。

慎重になるべきだけど、時が惜しい！
行ける所までは騎馬で向かおう。」






賁「…玉鳳隊も行くぞ。」





そうして、
楽華隊・玉鳳隊・Aの救護兵を合わせ
二十人程度の鋭生部隊を早急に立ち上げ

山道へ向かおうとした、その時





華「お待ち下さい……！！
どうか私も、連れて行って下さいませ！！」





李華さんが、
俺達の進行を遮った。









賁「……いい加減にしろ！！」




それに対して
いつも冷静な王賁が珍しく声を荒げる。

苛立ちが隠せていない様だ





恬「Aが捕らわれたのは自らの意思だ。
それが最善だと、その時彼女が判断したからだよ。

だから、俺達に任せて李華さんは…


華「嫌ですっ！！あの娘の意思と言えど、
私の代わりになったのは…事実ですわ！！！」







まいったな……
連れて行くのは危険すぎる。





けれど…王賁の怒号に
涙を溜めて瞳を揺らしながらも尚、

強い眼差しが、訴えかけてくる。






ただの良家のお姫様かと思っていたけれど…

頑固な所が、Aとよく似てるな。






恬「はぁ…問答している時が惜しい。

駄目だと言っても、後を付いて来そうだし…
陸仙、彼女を一緒に乗せてあげて。」



陸「ハッ！なるべくお守り致しますが…
もしもの時は、覚悟はして下さいね。」


賁「命の保証は無いと思え。」





華「構いませんわ…！」

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