貴方が天下の大将軍になるまで、私は‥

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ーAsideー









李華様を護っていた
護衛兵達も次々と斬られ倒れて行った。






昔から、蒙豪様や蒙武様に
戦地に出るのなら医術だけでは無く
護身術も学ぶようにと言われていたけれど…





正直、私に武の才は無くて…


けれど、今はそんな事言っていられないわ…！








最後の護衛兵が倒れ、男が私に刃を向ける。







男「さっさと、その後ろの女を寄越しな。」



気味の悪い笑みを浮かべながら
じりじりと私達の方へ迫って来る。






戦う覚悟を、決めなければ…！






そう思った瞬間

李華様の乗って来た馬車から
男の仲間達が荷を降ろしながら声をかけて来た。






男1「おい、漲 凱(ちょう がい)
馬車の中にあった荷は奪ったし、早く行こうぜ」



男2「向こうに大勢の兵が居たぜ！
これ以上、騒ぎたてられると見つかっちまう」









漲凱と呼ばれた男は、
目にも止まらぬ速さで一撃を加えてくる。


それをギリギリの所で受け止めると
私の首筋から赤い雫がポタポタと溢れ出した。




急所は何とか外したけれど…

力で押された私は、刀と一緒に
地面に叩きつけられてしまった。









華「いっ…嫌ぁああっ！！離してっ！！！」




その隙を突いた漲凱は
李華様を捕らえ山の方へと踵を返していた。







「…まっ、待て！！！
そのお方を離しなさい！！！」






凱「チッ、死にぞこないが。
黙って倒れてりゃあ良いのによ」


男3「構うな、行くぞ！」








「……近くにいるのは私の兵達だ！！
私が合図すれば直ぐにやってくるぞ！！」



凱「見た所、ただの救護兵だろ。
俺達の敵じゃねぇんだよバーカ！！」









「女が欲しいのなら…
私を連れていけ。その人に手を出すな！！」





私は戦地に出る時、胸をサラシで潰し
顔を布で覆い、女である事を隠していた。


戦に負けた時、女である事が明るみに出れば
男達の慰み者になる事は容易に想像が付く。







しかし、今は李華様の代わりになるべく



頭に巻いていた布を取り払い
髪結いを解き女である事を証明した。






凱「……へぇ、悪くねぇな。」




「もう一度言う。李華様を離せ！！
さもなくば、合図を送りお前達を捕らえる。」




凱「そんな事が、出来るかな？」


「救護兵と言えど、二千はいる！！」





凱「……まぁ、良い。

ぎゃあぎゃあ騒ぐ女より、生意気な目をした女を
服従させる方がより楽しめそうだしなぁ…」








【回想終了】

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