友達 _ 前日譚 _ ページ9
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高専に入って少したった頃。
自己中心的で自分勝手であると自覚のある俺にも、友達と呼べる奴らができつつあった。
「悟、またソレか」
「あ?」
今さっきAの結婚の話を聞いて、絶好調にイライラしている最中、それを緩和させるためにアメを貪っていると、傑が怪訝そうに顔を顰める。
以前にも注意されたこの毒々しい色の飴。
アメリカ発祥かなんだかで、体に悪そうな着色料と砂糖をふんだんに使っているが、そんなん美味けりゃどうでもいい。
「昔、アイツがよく食ってたんだよ」
「あぁ。悟の世話係の人だね?」
そう納得したように言うと、まさかまだ会えてないのかとクスクス笑う傑に、俺は一瞬忘れていたAの結婚の話を思い出す。
「世話係にしては仲がいいようだけど、
どんな人なんだい?」
「一言で言えばクズ。」
具体的に…と言われてしまえば、俺はそんなことしか思いつかず、俺が真顔でそう答えると…え?と戸惑いの表情を浮かべる。
「…でも、俺が一生懸命やったこととか
挑戦したことに関しては、失敗しても絶対笑わない」
「へぇ」
少し驚いたような顔をした後、すぐに含み笑いをする傑は、ただですら切れ長な目を更に細め、降参するように両手を上げた。
「その人、五条に好かれるなんて可哀想だね」
「オイ。」
突然会話に入ってきたかと思えば、失礼なことを言いやがる硝子。
俺がまた体に悪そうな飴を追加で食えば、硝子と傑は面白そうに何やら目配せをし合う。
「でも、あの悟が好きな人なんて
なんだか会ってみたくなったよ」
「確かに。」
「はぁ?別にAのことなんか好きじゃねーし」
未だになんで俺が、あんなクズの化身のような人間に執着しているのか自分でもよく分からない。
そんな俺に対して、素直になりなよとニンマリ笑う2人は、今の俺の状態を完全に面白がっているらしい。
「好きなんだろう?Aさんのこと」
「…アイツのこと名前で呼ぶな」
勘違いされるぞと傑に警告してやれば、2人からは爆笑が巻き起こる。
そして、今度の長期休みに会いに行こうかと、傑達は勝手に二人で予定を決め始め、Aさんへのアポ取りよろしく〜なんて、結局俺に丸投げしてきた。
「まぁちょうどいーや。」
どうせ傑と硝子には紹介する予定だったし。
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眠民。 - 最近の呪術廻戦が病みすぎて辛いので飛んできました。。最っっっ高です‥泣もう好きです。ごじょせん推しというわけでは無いのですが、このかっこよさ可愛さは神ですね(?)素敵な作品ありがとうございました! (12月2日 19時) (レス) @page29 id: 03ba19f866 (このIDを非表示/違反報告)
はく(プロフ) - えー…あ、っとー…もう最後の展開も好きすぎて携帯ぶん投げました。はい。抑えきれませんでした。スキイイイイイイイイイイイイイイイイイ (2022年1月19日 2時) (レス) @page29 id: 480d828c8e (このIDを非表示/違反報告)
緑の白猫 - 題名で一本釣りされました。ネーミングセンスと作品作るセンス有り過ぎでは? (2021年2月27日 10時) (レス) id: 41276e8159 (このIDを非表示/違反報告)
裸足のシンデレラ(プロフ) - 凄い面白いです!ただ疑問なのが有り1作目の時、主人公は19歳で高校生だったという事でしょうか? (2021年2月26日 20時) (レス) id: a4ec8b23ee (このIDを非表示/違反報告)
ゆっちゃん(プロフ) - 続編おめでとうございます。前作から読ませて頂いてましたが、続きが見れて嬉しいです! (2021年2月25日 23時) (レス) id: 6e82a1bfb5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:西川あや x他1人 | 作成日時:2021年2月25日 15時