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■45 ページ8

Aにされるがまま、京都という街の清水という場所に来た。


有名な観光地らしく、様々な観光客で賑わっていた。


途中、抹茶のソフトクリームをAに一口分けた。

俺の手からソフトクリームを食べる姿を見て、俺の中の何かが疼いた。

髪を耳にかけながら舌を伸ばす姿は、どこか扇情的で、俺は少し顔を赤くしたかもしれない。

なんだかとてもいけないことをしているような気にもなってくる。

それと同時に忌ま忌ましい記憶もよみがえる。゛汚してやる゛と言われたあの日の独房を思い出した。


瞬間言いようもない嫌悪感に襲われる。


しかし美味しいと笑みを浮かべるAをみて、心が落ち着いて行くのが分かった。

どうしてAといると、Aの顔を見ると、心が落ち着いて穏やかになるんだ。

どうして穏やかなはずの心が、少し浮いているような感覚がするんだ。

わからない。

答えのでない自問自答を繰り返しながらAの話を聞いていると、少し広い通りに出た。

まだまだ坂は続くらしいが。

『次は八つ橋ね。生の方。』

今度は何を俺に食べさせる気でいるんだ。














その店は、一等観光客で混んでいた。

味見用に様々な八つ橋とやらがパックに入れられている。

Aも観光客にまざって味見しはじめた。

一週間ほど過ごして分かったが、ここが闇ではなく照らされた世界だからなのか、毒というものが一般に存在しない。

俺の過ごしてきた世界では毒が身近だったため、目の前の光景は少し異様だった。

しかし、俺もAに習って味見をしてみることにした。

どれもとりあえずは甘い。

しかし様々だ。柔らかい甘さや、ストレートな甘さ。少しつんとするものもある。

『ね、52。どれがいい?』

「………どれもうまい。Aが食べたいやつを買っていこう。」

『え?いいのよ遠慮しなくても。』

「いや、本当にAが食べたいのを食べたいんだ。」

『……そう?』

じゃあ、とあれこれAは選び始めた。

人も多いので、俺は品物が並べられた所から少し後ろに離れてAの姿を見ていた。


Aが楽しそうにしている。








ああ、






やっぱり、







どこかあたたかい。








これが幸せと言うのだろうか。

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作者名:ばんぶー | 作成日時:2020年12月6日 4時

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