こんにちは、52。 (ページ7)

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土曜日。

『さて、じゃあお出かけしますか！』

52は未だにお金を出されることに馴れないようで、少し今日の外出に消極的だ。

『ゆっくり観光して、そのあと本を買いにいきましょ？ほら、』

「お、おい！」

そう言って52の手をひいた。

古都、京都。千年の都は現代にも色濃く歴史を残している。

『ふふ、52。さっきからぽーっとしてばっかよ。人も多いし気を付けてね。』

「………ああ。しかし、凄いな。景色も、人の多さも。」

私たちは清水に来ていた。ちょうど今は二寧坂を歩いている。

可愛らしい簪や化粧品のお店、美味しそうな食べ物も売っている。

「……？あの緑色のはなんだ？」

『抹茶のソフトクリームよ。あなた抹茶食べたことない？』

「ない。抹茶もソフトクリームも。」

『！！なら食べてみましょう！！苦手なら私のと交換できるように私はバニラソフトを頼もうかしら。』

「い、いや、」

52が抵抗する間もなくAは注文を済ませてしまった。

、

「……うまい………。」

『口に合ったみたいで、良かったわ。日本の抹茶は世界に誇れるもののひとつですもの。ぜひ味わわなくちゃ』

抹茶ソフトが気に入ったのか、無心で食べる姿はなんだか可愛らしい。

『52、はい。』

「……？」

Aはバニラを52へ差し出した。

『一口いらない？食べてみて。』

「！、いや、、」

突然のことに52はたじろいだ。すでにAが何口か食べたあとである。

しかし52にとっては、今までにない新しいものばかりで湧き出る興味には勝てなかった。

「…………い、いただく。」

『はい！』

「……………！すごく、濃厚だな。」

『でしょ？ね、52。私にも抹茶一口くれる？』

「ああ。」

52が差し出した抹茶ソフトをAはゆっくりと抹茶を味わう。

「…………っ、」

『ん～～！美味しいわね！ん、52？どうかしたの？』

「っ、いや！なんでもない……」

『そう？』

少し52の様子が気になるのを抑えて、次はね、とAはまた話し出した。

そうして話しているうちに少し広い通りに出た。

次は八つ橋だ、とAはまた52を引っ張った。

出発時の曇った表情から一転して、52は優しい笑みを浮かべていた。